電力システムの安定供給を支えるベースロード電源

電力システムの安定供給を支えるベースロード電源

電力を見直したい

先生、「ベースロード」ってよく聞くんですけど、一体どんな意味ですか?

電力の研究家

そうだね。「ベースロード」は、電力会社が常に供給し続けなければならない最低限の電気の量のことだよ。一日を通して電気の使用量は変わるけど、その中でも一番少ない時の電気の量を指すんだ。

電力を見直したい

なるほど。じゃあ、なぜ「ベースロード」という言葉を使うんですか?

電力の研究家

それは、電力会社が電気を安定して供給するためには、常に一定量の電気を発電し続けなければならないからなんだ。この、常に供給し続ける電力のことを「ベースロード電源」と呼んでいて、原子力発電や水力発電がよく使われているんだよ。

ベースロードとは。

電力会社が電気を送る範囲、あるいはもっと広い範囲で見ると、電気の使用量は一日のうちで山や谷を繰り返しながらも、似たようなパターンを描きます。この電気の使用量が一日の中で最も少なくなる時間帯の電気の需要を「ベースロード」、日本語で「基底負荷」と呼びます。まれに、家庭や工場など、比較的小さな場所で使われる電気を指して「ベースロード」と呼ぶこともあります。このベースロードに対応する発電所のことを「ベースロード電源」と言います。ベースロード電源は、建設にお金がかかりますが、燃料費が安く、安定して電気を供給できるという特徴があります。日本では、原子力発電や水力発電がベースロード電源として使われています。

電気の需要は時間によって変化する

電気の需要は時間によって変化する

私たちの暮らしに欠かせない電気ですが、常に一定の量が使われているわけではありません。電気の使用量は時間帯によって大きく変化します。これを「電力需要の変動」と呼びます。一般的に、電気は朝と夕方に多く使われます。これは、家庭では朝食の準備や照明の使用、企業では始業時間帯に多くの電気が必要となるためです。また、帰宅時間帯には再び照明や家電製品の使用が増えるため、夕方も電気の使用量はピークを迎えます。

一方、深夜から早朝にかけては、ほとんどの人が寝ているため、電気の使用量は1日の中で最も少なくなります。このように、電気の需要は常に変動しており、原子力発電所を含む発電所は、この変動に対応して電力を供給する必要があります。

電力会社は、需要の変化を予測し、それに合わせて発電所の運転を調整しています。需要が少ない時間帯には発電量を抑え、需要がピークを迎える時間帯には、原子力発電のように出力調整が難しい発電所は一定の運転を続け、水力発電など調整しやすい発電所で需要を満たすように調整しています。

時間帯 電力需要 電力供給の例
朝と夕方 高い 家庭:朝食の準備、照明の使用
企業:始業時間帯
帰宅時間帯:照明、家電製品の使用
深夜から早朝 低い ほとんどの人が就寝

ベースロードとは何か

ベースロードとは何か

私たちの生活には、電気は欠かせないものとなっています。家庭では照明や家電製品、職場ではコンピューターや機械など、電気で動くものがたくさんあります。電気を使う量は時間帯によって変化し、朝や夕方は多く、夜や深夜は少なくなります。
電力会社は、このような電気の需要の変化に合わせて、常に発電所の出力調整を行っています。発電量が需要よりも多ければ停電や機器の故障に繋がりますし、発電量が需要よりも少なければ電力不足に陥ってしまいます。
たとえ電気を使う量が最も少ない時間帯でも、社会を維持するために一定量の電力は常に供給し続ける必要があります。例えば、深夜でも街灯は点灯していますし、病院などの重要な施設では常に電気が必要です。
この、一日のうちで最も需要が少ない時間帯でも、ほぼ一定して続く電力需要の最低レベルのことを「ベースロード」と呼びます。ベースロードを安定して供給することは、電力システム全体を安定稼働させるために非常に重要です。ベースロードを供給する発電方法としては、出力の調整が難しい原子力発電などが適しています。

電力需要 説明 発電方法の例
ベースロード 一日のうちで最も需要が少ない時間帯でも、ほぼ一定して続く電力需要の最低レベル。社会を維持するために常に供給が必要。 原子力発電

ベースロードを担う電源

ベースロードを担う電源

電力供給において、常に一定の電力需要を満たすことを「ベースロード」と呼びます。そして、このベースロードを安定して供給する役割を担うのが「ベースロード電源」です。ベースロード電源には、24時間365日、出力の変化が少ない安定した電力供給が求められます。
この重要な役割を担う代表的な発電方法として、原子力発電と水力発電が挙げられます。
原子力発電は、ウランなどの核燃料を一度の燃料交換で長期間使用できるため、燃料費が比較的安く抑えられます。また、天候に左右されずに安定した電力を供給できることも大きな利点です。
一方、水力発電は、ダムに貯めた水を使い発電するため、燃料費がかかりません。さらに、発電量を調整しやすく、電力需要の変動にも柔軟に対応できるという利点があります。
このように、原子力発電と水力発電は、それぞれ異なる特徴を持ちながらも、安定供給と低コストという点で共通しており、ベースロード電源として重要な役割を担っています。

発電方法 メリット デメリット
原子力発電
  • 燃料費が安い
  • 天候に左右されない安定供給
記載なし
水力発電
  • 燃料費が不要
  • 発電量の調整が容易
記載なし

原子力発電の役割

原子力発電の役割

原子力発電は、太陽光発電や風力発電のように天候に左右されることなく、常に一定量の電気を供給し続けることができるため、電力供給の土台となるベースロード電源として重要な役割を担っています。火力発電のように石油や石炭などの燃料を燃やす必要がないため、発電時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しないという利点もあります。
原子力発電の燃料となるウランは、少量でも巨大なエネルギーを生み出すことができるため、一度燃料を原子炉に装荷すると長期間運転を続けることができます。このため、燃料の調達や輸送が容易であり、エネルギー安全保障の観点からも重要な役割を担っています。
このように、原子力発電は、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点からも重要な役割を担っていますが、一方で、原子力発電所はひとたび事故が起きると深刻な被害をもたらす可能性があるため、安全性確保が最も重要な課題となっています。更に、使用済み燃料の処理や廃棄物処分などの課題も残されています。

メリット デメリット
  • 天候に左右されず安定した電力供給が可能(ベースロード電源)
  • CO2を排出しない
  • 燃料の調達・輸送が容易
  • エネルギー安全保障に貢献
  • 事故発生時のリスクが高い
  • 使用済み燃料の処理・廃棄物処分の課題

安定供給と環境保全の両立に向けて

安定供給と環境保全の両立に向けて

電力会社は、私たちの生活や経済活動を支える電気を安定的に供給するために、日々努力を重ねています。そのために、常に一定量の電力を供給し続けることができる「ベースロード電源」と、天候によって出力が変動する太陽光発電や風力発電といった「再生可能エネルギー」を組み合わせることで、電力供給の安定性と環境への配慮の両立を目指しています。

ベースロード電源は、24時間365日、ほぼ一定の出力で電力を供給できるという特徴があります。このため、私たちの生活に欠かせない電気の安定供給を支える上で、非常に重要な役割を担っています。一方、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、二酸化炭素の排出量が少なく、地球温暖化対策の観点から注目されています。しかし、これらのエネルギー源は、天候に左右されやすく、安定的な電力供給には不向きな側面もあります。

電力会社は、これらの異なる特性を持つ電源をバランス良く組み合わせることで、電力の安定供給と環境保全の両立という課題に取り組んでいます。具体的には、ベースロード電源で安定的な電力を供給し、再生可能エネルギーの導入を積極的に進めることで、二酸化炭素の排出量削減を目指しています。さらに、蓄電池の技術開発や需要側の電力使用の効率化なども進めることで、より一層、環境に配慮した電力システムの構築を目指しています。

項目 ベースロード電源 再生可能エネルギー
特徴 24時間365日、ほぼ一定の出力で電力を供給可能 天候によって出力が変動する (例: 太陽光発電、風力発電)
メリット 電力の安定供給に不可欠 二酸化炭素排出量が少なく、地球温暖化対策に有効
デメリット 環境への負荷が高い場合がある 天候に左右されやすく、安定的な電力供給には不向き