注目のクリーンエネルギー：圧縮天然ガスとは？

注目のクリーンエネルギー：圧縮天然ガスとは？

圧縮天然ガスとは

– 圧縮天然ガスとは圧縮天然ガス（CNG）は、都市ガスとして広く知られる天然ガスを、およそ200倍の圧力まで圧縮したものです。この圧縮により、体積は約200分の1にまで小さくなります。イメージとしては、風船に入れた空気をぎゅっと押し縮めて、体積を小さくする様子を思い浮かべてみてください。CNGの主成分はメタンというガスで、これは都市ガスと同じです。メタンは無色透明で、においもありません。そのため、ガス漏れに備えて、特有のにおいがするように加工されています。CNGは、体積が小さくできるため、貯蔵や運搬に適しているというメリットがあります。そのため、自動車の燃料として利用されることが増えています。従来のガソリン車と比べて、CNG車は排気ガス中の有害物質が少ないという環境面での利点もあります。また、CNGは、ガソリンスタンドのように専用の施設で供給されます。専用の容器に充填して使用するため、安全面にも配慮されています。このように、CNGは、環境への負荷が小さく、安全性にも優れた燃料として、今後の普及が期待されています。

地球環境へのやさしさ

地球温暖化は、私たちの暮らしや地球全体の生態系に深刻な影響を与える大きな問題です。その主な原因となるのが、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出です。特に、自動車や工場などから排出される二酸化炭素の量は多く、地球温暖化を食い止めるためには、二酸化炭素の排出量削減が急務となっています。

圧縮天然ガスは、ガソリンや軽油に比べて二酸化炭素の排出量が少なく、地球温暖化対策に有効なクリーンエネルギーとして注目されています。 燃焼時に発生する二酸化炭素の量が、ガソリンに比べて約25%、軽油に比べて約15%も少ないため、地球温暖化の防止に大きく貢献します。

さらに、圧縮天然ガスは、燃焼時に有害物質の排出も少ないという特徴があります。 大気汚染の原因となる窒素酸化物や粒子状物質の排出量は、ガソリン車と比べて大幅に削減できます。特に、窒素酸化物は、光化学スモッグの原因物質の一つであり、呼吸器系への影響も懸念されています。圧縮天然ガス車は、これらの有害物質の排出量が少ないことから、大気環境の改善にも大きく貢献すると期待されています。

供給の安定性

– 供給の安定性
エネルギー資源において、供給の安定性は極めて重要な要素です。その点で、圧縮天然ガスは大きな利点を持ちます。

まず、圧縮天然ガスは世界中に広く分布しています。そのため、特定の国や地域に依存する必要性が低く、供給が偏るリスクを抑えられます。これは、石油のように産出地が偏っている資源と比較すると、大きな強みと言えるでしょう。

また、国際的な情勢の影響を受けにくい点も、圧縮天然ガスの魅力です。政治的な対立や紛争などが発生した場合でも、供給が途絶える可能性は低く、エネルギー供給の安定性を確保できます。

これらの特徴により、圧縮天然ガスはエネルギー安全保障の観点からも高く評価されています。エネルギー資源の安定確保は、国の経済発展や国民生活に直結する重要な課題です。その点で、供給の安定性に優れた圧縮天然ガスは、将来を見据えたエネルギー戦略においても重要な役割を担うと言えるでしょう。

海外での普及状況

– 海外での普及状況

世界に目を向けると、圧縮天然ガス自動車、いわゆるCNG車は、環境への配慮や燃料費の低さから、すでに多くの国々で普及しています。特に、経済成長が著しい中国、インド、イランといった新興国では、その導入が目覚ましいものがあります。

これらの国々では、タクシーや路線バスなど、人々の生活を支える公共交通機関を中心にCNG車が積極的に採用されています。その理由は、排出ガス中の有害物質の少なさが挙げられます。
CNG車は、従来のガソリン車と比べて、大気汚染の原因となる窒素酸化物や粒子状物質の排出量が大幅に少ないという特徴があります。

また、CNGはガソリンよりも安価で経済的であることも、新興国における普及を後押ししています。世界全体では、すでに1,000万台を超えるCNG車が走行しており、その数は増加の一途をたどっています。環境意識の高まりと燃料価格の高騰が続く中、CNG車は、地球環境と家計の両方に優しい乗り物として、今後ますます世界中で選ばれていくと考えられます。

日本における課題

我が国では、圧縮天然ガスを燃料とする自動車の普及は遅々として進んでいません。これは、いくつかの要因が複雑に絡み合っているためです。

まず、圧縮天然ガスを充填できるスタンドの数が、ガソリンスタンドと比べて圧倒的に少ないことが挙げられます。地方都市や郊外では、スタンドを見つけること自体が困難な場合も少なくありません。

さらに、圧縮天然ガス車の車両価格が、ガソリン車よりも高額であることも普及を阻む一因となっています。環境性能に優れているとはいえ、購入費用が高ければ消費者は二の足を踏んでしまうでしょう。

加えて、国内の自動車メーカーが、ハイブリッド車や電気自動車の開発に注力していることも見逃せません。世界的な脱炭素化の流れを受け、次世代自動車の開発競争が激化する中、圧縮天然ガス車は軽視されがちです。

圧縮天然ガス車の普及を促進するためには、これらの課題を克服していく必要があります。具体的には、国や自治体による補助金制度を活用し、圧縮天然ガススタンドの整備を推進していくことが重要です。また、車両価格の低減に向けた技術開発や量産効果も欠かせません。

さらに、圧縮天然ガス車の優れた環境性能や経済性を、消費者に積極的にアピールしていくことも重要です。メディアやインターネットなどを活用し、圧縮天然ガス車のメリットを広く周知していく必要があります。