原子力発電の心臓部を守る!インコネル合金の活躍
原子力発電所の中枢である原子炉は、想像を絶する高温・高圧、そして放射線が飛び交う過酷な環境です。このような環境下では、通常の金属ではたちまち溶けてしまったり、もろくなってしまったりするため、特別な素材が必要となります。その役割を担うのが、「インコネル」と呼ばれる特殊な金属です。インコネルは、ニッケルを主成分として、クロムやモリブデン、ニオブといった金属を独自の配合で混ぜ合わせることで、並外れた強度と耐食性を実現しています。
高温に晒され続けても変形しにくいため、原子炉の構造材として最適です。また、強い放射線を浴び続けても劣化しにくいため、長期間にわたって安定した運転に貢献します。さらに、酸やアルカリなどの腐食性物質にも強く、原子炉内で発生する様々な化学反応にも耐えられます。インコネルは、まさに原子力発電所の過酷な環境において、その能力を遺憾なく発揮する、縁の下の力持ちと言えるでしょう。