インコネル

原子力施設

原子力発電の心臓部を守る!インコネル合金の活躍

原子力発電所の中枢である原子炉は、想像を絶する高温・高圧、そして放射線が飛び交う過酷な環境です。このような環境下では、通常の金属ではたちまち溶けてしまったり、もろくなってしまったりするため、特別な素材が必要となります。その役割を担うのが、「インコネル」と呼ばれる特殊な金属です。インコネルは、ニッケルを主成分として、クロムやモリブデン、ニオブといった金属を独自の配合で混ぜ合わせることで、並外れた強度と耐食性を実現しています。 高温に晒され続けても変形しにくいため、原子炉の構造材として最適です。また、強い放射線を浴び続けても劣化しにくいため、長期間にわたって安定した運転に貢献します。さらに、酸やアルカリなどの腐食性物質にも強く、原子炉内で発生する様々な化学反応にも耐えられます。インコネルは、まさに原子力発電所の過酷な環境において、その能力を遺憾なく発揮する、縁の下の力持ちと言えるでしょう。
核燃料

原子力発電の縁の下の力持ち:グリッドスペーサ

原子炉の心臓部ともいえるのが、燃料集合体です。燃料集合体の中には、核分裂反応を起こす燃料となるウランがぎっしりと詰まった燃料ペレットが無数に収められています。燃料ペレットは、直径1センチメートルほどの小さな円柱形で、セラミックスの一種である二酸化ウランが主な成分です。 この小さな燃料ペレットを、金属製の丈夫な管に隙間なく封入したものが燃料棒です。燃料棒は、一本だけでは十分なエネルギーを生み出すことができません。そこで、数十本から数百本もの燃料棒を束ねて、燃料集合体として原子炉の中に設置されます。燃料集合体は、原子炉の種類や設計によって形状や大きさが異なりますが、いずれも核分裂反応を効率的に制御し、安全に熱エネルギーを生み出すために重要な役割を担っています。 燃料集合体の中で、燃料ペレットは高温・高圧の過酷な環境にさらされます。そのため、燃料ペレットや燃料棒の材質、そしてそれらを束ねる技術には、高度な技術と安全性が求められます。原子力発電は、この燃料集合体の中で起きている核分裂反応のエネルギーを利用して、私たちに電気を供給しているのです。