ドイツにおける原子力発電:CDU/CSUの視点
ドイツキリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟は、長年にわたりドイツのエネルギー政策において中心的な役割を果たしてきました。特に1973年の石油危機をきっかけに、エネルギー源を石油に頼りすぎないよう、国内に豊富にある石炭と原子力を積極的に活用する政策を推し進めてきました。両党は、エネルギーの安定供給を確保し、他国からのエネルギー輸入への依存度を下げるためには、石炭と原子力が欠かせないと考えていたのです。
特に原子力発電については、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量が少なく、天候に左右されずに安定した電力を供給できるという点で、重要なエネルギー源と位置付けてきました。また、原子力発電所の建設や運転によって、国内に多くの雇用が生まれることも重視してきました。
しかし、2011年の福島第一原子力発電所の事故後、国民の間で原子力発電に対する不安が高まり、エネルギー政策の見直しを迫られることになりました。その後、ドイツは原子力発電からの段階的な撤退を決定し、再生可能エネルギーの導入を積極的に進める方向へと大きく舵を切ることになります。