人体への影響

放射線について

電解質と放射線被ばく

- 電解質とは水に溶けると電気を通すようになる物質を電解質と呼びます。私たちにとって身近な例では、塩や砂糖を水に溶かすと、電気を通すようになることが挙げられます。この性質を示すのは、物質が水に溶ける際に、プラスとマイナスの電気を帯びた小さな粒子(イオン)に分かれるためです。反対に、水に溶けても電気を通さない物質は非電解質と呼ばれ、砂糖などがその一例です。電解質は私たちの身の回りに数多く存在し、特に体液は重要な電解質溶液と言えるでしょう。体液には、ナトリウム、カリウム、カルシウムといった電解質が含まれており、これらのイオンは体内で重要な役割を担っています。例えば、ナトリウムイオンやカリウムイオンは、神経伝達や筋肉の収縮などに関わっていますし、カルシウムイオンは骨や歯の形成に不可欠です。これらの電解質は、体内の水分バランスを保つのにも役立っています。体内の電解質濃度は、常に一定の範囲内に保たれている必要があり、もし汗を大量にかいて水分や電解質が失われると、脱水症状を引き起こしてしまう可能性があります。そのため、私たちは水分だけでなく、電解質も適切に摂取することが健康維持に重要と言えるでしょう。
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放射線と体液の関係

人間の体は、成人でおよそ60%が水分と言われています。この水分は、大きく二つに分けられます。一つは細胞内液で、もう一つは細胞外液です。 細胞内液は、読んで字のごとく、細胞一つひとつの内部にある液体のことを指します。細胞内液は、細胞が活動するために欠かせない栄養素やタンパク質などを溶かし込んでいます。まさに、細胞にとっての「活動の場」と言えるでしょう。 一方、細胞の外側にある液体は、まとめて細胞外液と呼ばれます。細胞外液には、血液、リンパ液、組織液など、いくつかの種類があります。血液は、酸素や栄養を全身の細胞に届けたり、二酸化炭素や老廃物を回収して肺や腎臓に運んだりする役割を担っています。リンパ液は、血管から染み出した液体成分を回収し、再び血液に戻す役割をしています。また、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を攻撃し、排除する免疫機能にも関わっています。組織液は、血液と細胞の間を満たす液体で、細胞に栄養や酸素を供給したり、老廃物を運び去ったりする役割を担っています。 このように、体液は私たちの体にとって、まさに「生命の源」とも言える重要な役割を担っています。水分を適切に摂取し、体液のバランスを保つことは、健康を維持する上で非常に大切です。
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放射線と精巣:影響と防護

男性にとって、子孫を残すために重要な役割を担うのが精巣です。精巣は「睾丸」とも呼ばれ、その名の通り丸みを帯びた形をしています。左右に一つずつ、陰嚢と呼ばれる袋の中に収まっています。この精巣の中には無数の細い管が張り巡らされており、これを「細精管」と言います。精子は、この細精管の中で作られ、成熟していきます。精巣で作られた精子は、精巣上体へと送られ、体外へ射出されるまでそこで蓄えられます。 健康な成人男性の場合、精巣の重さは約35グラムです。これは、放射線の人体への影響を評価し、防護基準を定める国際機関である国際放射線防護委員会(ICRP)の刊行物にも記載されている数値です。精巣は放射線に対して脆弱な臓器であることが知られており、被ばく線量によっては精子を作る能力が低下する可能性があります。そのため、医療現場や原子力施設など、放射線を使用する場所では、精巣を含む身体への被ばく線量を最小限に抑えるための対策が講じられています。