
X線の基礎と原子力分野における活用
日常生活で耳にする「X線」。実は、光や電波と同じ仲間で、目には見えない電磁波と呼ばれる波の一種です。電磁波は、波の長さによって性質が異なり、波の短い方から順に、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波と分類されます。その中で、X線は、紫外線よりも波長が短く、ガンマ線よりも波長が長い、およそ0.01ナノメートルから10ナノメートル程度の波長を持つ電磁波を指します。これは、原子の大きさに匹敵するほどの短さです。
X線は、物質を透過する能力が高く、レントゲン撮影や空港の手荷物検査など、様々な場面で活用されています。レントゲン撮影では、X線が骨などの硬い組織で吸収されやすく、皮膚などの軟らかい組織を透過しやすい性質を利用して、体の内部の様子を画像化します。また、空港の手荷物検査では、X線が金属などの密度の高い物質を透過しにくい性質を利用して、危険物の有無を検査しています。このように、X線は私たちの生活に欠かせない技術の一つとなっています。