希少難病医薬品開発を支える法律
- アメリカの希少難病医薬品法とはアメリカの希少難病医薬品法は、正式には希少医薬品法(Orphan Drug ActP.L.97−414)と呼ばれ、1983年1月に制定された後、何度か改正を重ねている法律です。この法律は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が管轄し、患者数が少ない希少疾病の治療薬開発を促進することを目的としています。日本ではあまり馴染みのない「希少疾病」とは、特定の国や地域において、患者数が少ない疾患のことを指します。アメリカでは、人口20万人以下の疾病がこれに該当します。これらの病気は、患者数が少ないため、製薬会社にとっては治療薬を開発しても、開発費を回収できるだけの利益が見込めないという問題がありました。 そこで、この法律では、希少疾病の治療薬開発に対して、様々な優遇措置を設けています。例えば、開発資金の助成や税制上の優遇、開発データの保護期間の延長などです。これらの措置によって、製薬会社が希少疾病の治療薬開発に積極的に取り組むことを促し、結果として、患者数の少ない病気の治療法開発が進むことが期待されています。興味深いことに、法律の条文の中では、「希少医薬品」や「希少疾病」といった言葉は直接的には使用されていません。その代わりに、「希少疾病やその状態」といった表現を用いることで、より広範な疾患や症状を対象としている点が特徴です。