
原子力発電と凝集沈殿処理
凝集沈殿処理とは、水の中に溶け込まずに漂っている、目に見えないほど小さな粒子を大きくして、沈殿として取り除く水処理技術です。
この技術は、水道水の浄化や、家庭や工場から排出される汚れた水を綺麗にする下水処理場などで広く使われています。さらに、原子力発電所においても、放射性物質を含む廃液を浄化する過程で重要な役割を担っています。
凝集沈殿処理では、まず、処理対象の水に凝集剤と呼ばれる薬品を加えます。すると、水中の微細な粒子が互いにくっつきやすくなり、次第に大きな塊へと成長していきます。この大きな塊はフロックと呼ばれ、肉眼でも確認できるほどの大きさになります。
フロックが形成された水は、ゆっくりと時間をかけて静かに保たれます。この過程を沈殿といい、重いフロックは水の底に沈んでいきます。最後に、沈殿したフロックを含む汚泥と、上澄み液に分離することで、浄化された水を得ることができます。
凝集沈殿処理は、比較的シンプルな設備で運転できるため、コストを抑えられるという利点があります。また、薬品の種類や量を調整することで、様々な種類の廃液に対応できる柔軟性も備えています。