国際協力で進めた核融合炉INTOR

国際協力で進めた核融合炉INTOR

電力を見直したい

先生、「INTOR」って、何のことですか?

電力の研究家

「INTOR」は、国際トカマク炉の略称で、世界各国で協力して設計が進められていた核融合炉のことだよ。トカマク型という種類になるね。

電力を見直したい

核融合炉って、あの未来のエネルギー源のことですよね?どうして世界で協力して作ろうとしてたんですか?

電力の研究家

その通り!核融合炉は実現すれば、とてもクリーンで枯渇の心配が少ないエネルギー源として期待されているんだ。ただ、実現するにはとても高度な技術が必要だから、世界中で協力して開発を進めていたんだよ。

INTORとは。

「INTOR」は原子力発電の用語で、「International Tokamak Reactor」の略称です。日本語では「国際トカマク炉(建設計画)」と言います。1978年から国際原子力機関(IAEA)が、各国の専門家を集めて、トカマク型の核融合炉の設計を進めていました。INTORは、その計画の名称です。

INTORとは

INTORとは

– INTORとはINTORは、International Tokamak Reactorの略で、日本語では「国際トカマク炉(建設計画)」といいます。これは、核融合反応を起こしてエネルギーを取り出すことを目指した実験炉です。核融合とは、軽い原子核同士が融合してより重い原子核になる反応で、太陽のエネルギー源ともなっています。INTORは、トカマク型と呼ばれる磁場閉じ込め方式を採用しています。これは、ドーナツ状の真空容器内にプラズマを閉じ込め、強力な磁場によってその高温高密度状態を維持することで核融合反応を誘起する方式です。INTOR計画は、国際原子力機関(IAEA)の主導のもと、1978年から日本、アメリカ、ヨーロッパ、ソ連(当時)が参加して進められました。これは、国際協力によって核融合エネルギーの実現を目指すという壮大な計画でした。概念設計の段階では、炉の大きさや出力、運転方法など、基本的な設計が検討されました。しかし、INTOR計画は実験炉の建設には至らず、その後のITER(国際熱核融合実験炉)計画へと引き継がれることになりました。INTOR計画で得られた知見は、ITER計画の設計や建設に大きく貢献しています。

項目 内容
名称 INTOR(International Tokamak Reactor)
国際トカマク炉(建設計画)
目的 核融合反応によるエネルギー取得
核融合とは 軽い原子核同士が融合してより重い原子核になる反応
太陽のエネルギー源
方式 トカマク型磁場閉じ込め方式
ドーナツ状の真空容器内のプラズマを強力な磁場で閉じ込め、高温高密度状態を維持することで核融合反応を誘起
推進機関 国際原子力機関(IAEA)
参加国 日本、アメリカ、ヨーロッパ、ソ連(当時)
期間 1978年〜
成果 概念設計
炉の大きさ、出力、運転方法等の基本設計を検討
ITER(国際熱核融合実験炉)計画に引き継がれる

INTORの目的

INTORの目的

国際熱核融合実験炉(INTOR)計画は、単に核融合反応によるエネルギー発生を実証するだけでなく、将来の実用的な核融合発電所を建設するために必要なデータと技術基盤を獲得することを目的としていました。

INTORは、核融合炉の設計において克服すべき多くの技術的課題に取り組むことを目指していました。その一つが、高エネルギー中性子の流れにさらされる炉材料の開発です。INTORは、実際に近い環境で材料試験を実施することで、耐久性のある材料の選定と開発を促進することを目指しました。

また、INTORは、核融合反応の燃料となるトリチウムを炉内で増殖させる技術の実証も目指していました。トリチウムは天然にはほとんど存在しないため、炉の運転を維持するためには、炉内でリチウムと中性子の反応を利用してトリチウムを生成する必要があります。INTORは、このトリチウム増殖技術の実現可能性を検証する計画でした。

さらに、INTORは、核融合反応を長時間安定して維持するためのプラズマ運転技術の確立も目指していました。 高温高密度のプラズマを長時間閉じ込めておくことは、核融合発電を実現するための重要な課題であり、INTORは、超伝導磁石技術などを駆使して、長時間プラズマ運転を実現するための技術開発を推進する役割を担いました。

課題 内容
炉材料開発 高エネルギー中性子に耐える材料の開発と選定
トリチウム増殖 リチウムを用いたトリチウム増殖技術の実証
プラズマ運転技術 長時間安定した核融合反応維持のためのプラズマ運転技術の確立

設計の内容

設計の内容

– 設計の内容国際熱核融合実験炉(ITER)は、核融合エネルギーの実用化に向けた重要な一歩として、その設計には大きな期待と挑戦が込められました。設計の中心となったのは、プラズマ電流、プラズマ半径、磁場閉じ込め方式、運転時間など、核融合反応を持続させるために必要な要素でした。ITERでは、プラズマ電流を6.4MAという高い値に設定しました。プラズマ電流は、プラズマ中の電気を帯びた粒子の流れであり、この流れが強くなることでプラズマの温度が上昇し、核融合反応が起きやすくなります。また、プラズマ半径は1.2mと決められました。プラズマ半径が大きいほど、プラズマの体積が増え、より多くのエネルギーを生み出すことが期待できます。ITERでは、プラズマを閉じ込めるために、強力な磁場を発生させる必要があり、そのために大型超伝導磁石を採用しました。超伝導磁石は、電気抵抗がゼロになる極低温に冷却することで、強力な磁場を発生させることができます。ITERの規模で必要な磁場を従来の電磁石で生成しようとすると、莫大な電力を消費してしまうため、超伝導磁石の採用は必須でした。さらに、ITERは約100秒間の長時間燃焼を目指しました。これは、当時の技術水準では画期的な長さであり、核融合反応を持続的に制御できることを実証する上で重要な目標でした。これらの設計値は、当時の技術水準を考慮し、核融合反応の持続と制御、そして発電の実証に必要な最小限の規模として、慎重に決定されました。ITERの設計は、その後の核融合研究に多大な影響を与え、将来の核融合発電所の建設に向けた重要な礎となりました。

項目 内容
プラズマ電流 6.4MA
プラズマ半径 1.2m
磁場閉じ込め方式 大型超伝導磁石
運転時間 約100秒間

計画の成果とその後

計画の成果とその後

– 計画の成果とその後

1980年代後半に終結したINTOR計画ですが、その意義は大きく、その後の核融合研究に多大な影響を与えました。計画自体は終了したものの、そこで培われた技術や知識は、国際熱核融合実験炉、すなわちITER計画へと引き継がれていきました。

INTOR計画で開発された設計ツールや解析コードは、より複雑で大規模なITERの設計に欠かせないものとなりました。また、INTOR計画で検討された概念設計は、ITERの設計の基礎となり、その後の改良や発展に大きく貢献しました。特に、プラズマ閉じ込め方式や加熱方式、燃料供給方式など、核融合炉の心臓部に関する重要な知見が得られました。

INTOR計画は、国際協力の重要性を示した点でも画期的でした。複数の国が共通の目標に向かって技術や資源を結集することで、核融合という複雑かつ困難な課題にも立ち向かえることを証明しました。これは、その後のITER計画にも受け継がれ、世界各国の協力体制を構築する基盤となりました。

INTOR計画は、核融合エネルギーの実現に向けた重要な一歩となりました。計画で得られた成果は、ITER計画へと受け継がれ、人類の夢である核融合エネルギーの実現に向けて、着実に前進しています。INTOR計画は、国際協力によってこそ、困難な目標を達成できることを示した重要なプロジェクトとして、未来へ語り継がれるべきでしょう。

項目 内容
計画期間 1980年代後半に終結
意義 その後の核融合研究に多大な影響を与えた
成果1 設計ツールや解析コードの開発 (ITER計画に貢献)
成果2 プラズマ閉じ込め方式、加熱方式、燃料供給方式など、核融合炉の心臓部に関する重要な知見を得た (ITER計画の設計の基礎)
成果3 国際協力の重要性を示した (ITER計画にも受け継がれ、世界各国の協力体制を構築する基盤)
結論 核融合エネルギーの実現に向けた重要な一歩