エネルギー源としてのLNG:その特性と将来性

エネルギー源としてのLNG:その特性と将来性

電力を見直したい

先生、LNGって液化天然ガスって意味だって習ったんですけど、そもそもなんでわざわざ天然ガスを液体にするんですか?

電力の研究家

いい質問ですね! 実は、天然ガスを液体にすることで、体積を大幅に減らすことができるんです。

電力を見直したい

体積が減ると、何かいいことがあるんですか?

電力の研究家

もちろんです。体積が小さくなると、たくさんの量を一度に遠くまで運んだり、保管したりするのが簡単になるんですよ。

LNGとは。

「LNG」という言葉は、原子力発電ではなく、天然ガスを扱う分野で使われる言葉です。英語で書くと「Liquefied Natural Gas」となり、日本語では「液化天然ガス」と言います。これは、天然ガスから硫黄や二酸化炭素、水分などを取り除き、とても低い温度まで冷やすことで液体にしたものです。

天然ガスは、ほとんどがメタンという燃える気体でできており、場所によって成分の割合は違います。ガス田から採れるものと、石油を採掘する際一緒に出てくるものがあります。昔は、中東や東南アジア、アフリカの油田で採れる天然ガスは、使い道がなく燃やされてしまうだけでした。しかし、近年では、天然ガスを冷やして液体にし、運びやすく、保管しやすくする技術が進歩したため、こうした使われていなかったガス資源も活用できるようになりました。

天然ガスはマイナス162度まで冷やすと液体になり、大きさは元の約600分の1になります。このように小さくできることで、運びやすく、保管しやすくなるのです。液体にした天然ガスの性質は、原料となる天然ガスの成分によって異なり、採れた場所によって性質が変わります。

LNGとは

LNGとは

– 液化天然ガス(LNG)とは液化天然ガス(LNG)は、その名の通り、天然ガスを液体にしたものです。 天然ガスをマイナス162度という非常に低い温度まで冷却することで、液体にすることができます。 液体になると、気体の状態と比べて体積が大幅に減少します。 なんと、約600分の1まで小さくなるのです。この体積の縮小は、LNGの大きなメリットに繋がります。 液体になったことで、輸送や貯蔵が格段にしやすくなるのです。 気体の状態の天然ガスを長距離輸送する場合、巨大なパイプラインを敷設する必要があり、コストや時間がかかってしまいます。しかし、LNGとして運ぶ場合は、専用の船舶やタンクを使用することで、より効率的に輸送することができます。また、貯蔵に関しても、LNGは液体であるため、気体の天然ガスよりも小さなスペースに大量に貯蔵することができます。 このため、エネルギーの安定供給という観点からも、LNGは非常に重要な役割を担っています。 近年、世界的にエネルギー需要が高まる中、LNGはクリーンなエネルギー源として、ますます注目されています。

項目 詳細
定義 天然ガスを-162℃に冷却して液体化したもの
メリット 体積が気体の約1/600になり、輸送・貯蔵が容易になる
輸送方法 専用の船舶・タンクを使用
重要性 エネルギーの安定供給に貢献
近年の動向 クリーンエネルギーとして注目されている

LNGの原料

LNGの原料

液化天然ガス(LNG)の原料となる天然ガスは、燃える性質を持つ気体で、そのほとんどはメタンという物質でできています。この天然ガスには、大きく分けて二つの採掘方法があります。

一つ目は、ガス田から直接採掘する方法です。ガス田とは、地下深くの地層に天然ガスが豊富に存在している場所のことです。もう一つは、油田から原油を採取する際に、一緒に採れるガスを利用する方法です。こちらは随伴ガスと呼ばれ、かつては中東地域や東南アジア、アフリカなどの油田で、有効活用されないまま燃やされてしまうことも少なくありませんでした。

しかし、近年ではエネルギー資源としての価値が見直され、LNGの原料として有効活用されるようになっています。特に、地球環境への負荷が少ないエネルギーとして注目されており、世界中で需要が高まっています。

採掘方法 説明 備考
ガス田から直接採掘 地下深くの地層に存在するガス田から直接天然ガスを採掘する。
油田からの随伴ガス利用 原油を採取する際に一緒に採れる随伴ガスを利用する。 かつては燃やされてしまうこともあったが、近年ではLNGの原料として有効活用されている。

LNG利用の広がり

LNG利用の広がり

近年、エネルギー資源の需要が高まる一方で、地球環境への負荷を低減することが求められています。そのような中、従来型のエネルギー源に加えて、新たなエネルギー源への期待が高まっています。
その一つとして注目されているのが、液化天然ガス、いわゆるLNGです。
LNGは、天然ガスをマイナス162度まで冷却し、液体にすることで体積を約600分の1に縮小したものです。
液体にすることで、気体のまま運ぶよりも輸送効率が格段に向上し、大量のエネルギーを一度に運ぶことが可能になります。また、LNGは、石炭や石油などの化石燃料と比較して、燃焼時の二酸化炭素排出量が少なく、環境負荷が低いという利点もあります。
こうした背景から、LNGは、発電用の燃料としてだけでなく、都市ガスや工業用燃料としても世界中で需要が拡大しています。
特に、パイプラインによる輸送が難しい地域や国において、LNGは重要なエネルギー源となっています。
日本は、天然ガス資源に乏しい国ですが、世界最大のLNG輸入国として、その供給をLNGに大きく依存しています。
エネルギー資源の安定確保の観点からも、LNGの重要性は今後ますます高まっていくと予想されます。

項目 内容
概要 天然ガスを-162℃で冷却し液体化したもの。体積が約1/600になり、輸送効率が大幅に向上する。
メリット
  • 輸送効率が高い
  • CO2排出量が少なく環境負荷が低い
用途
  • 発電用燃料
  • 都市ガス
  • 工業用燃料
現状 世界中で需要が拡大。特にパイプライン輸送が難しい地域で重要。
日本における重要性 天然ガス資源に乏しい日本は、世界最大のLNG輸入国。エネルギー安全保障上、重要性はさらに高まる見込み。

LNGのメリット

LNGのメリット

– 液化天然ガスの利点液化天然ガス(LNG)は、気体の天然ガスをマイナス162度まで冷却し、液体に変えて体積を約600分の1に縮小したものです。この液化天然ガスは、従来のエネルギー源と比較して、環境負荷が低いという点で大きな利点を持ちます。まず、液化天然ガスは、石炭や石油といった化石燃料と比べて、燃焼時に発生する二酸化炭素の排出量が大幅に少ない点が挙げられます。二酸化炭素は、地球温暖化の主な原因物質として知られており、その排出量削減は世界的な課題となっています。液化天然ガスは、石炭と比較して約半分、石油と比較して約3割も二酸化炭素排出量を抑えることができるため、地球温暖化対策に大きく貢献するエネルギー源として期待されています。さらに、液化天然ガスは、燃焼時に硫黄酸化物や窒素酸化物といった大気汚染物質の排出量が少ないという点も大きな利点です。硫黄酸化物は、酸性雨の原因物質となり、森林や湖沼、建造物などに深刻な被害をもたらします。また、窒素酸化物は、光化学スモッグの原因物質となり、人体への健康被害を引き起こす可能性があります。液化天然ガスは、これらの有害物質の排出量を大幅に抑制することができるため、環境改善に大きく貢献するエネルギー源と言えるでしょう。このように、液化天然ガスは、従来のエネルギー源と比べて環境負荷が低く、地球温暖化対策や大気汚染対策に貢献できるクリーンなエネルギー源として注目されています。

項目 利点
二酸化炭素排出量 石炭や石油と比べて大幅に少ない。石炭の約半分、石油の約7割。
大気汚染物質排出量 硫黄酸化物や窒素酸化物の排出量が少ない。

LNGの課題

LNGの課題

– 液化天然ガスの課題
液化天然ガス(LNG)は、比較的クリーンなエネルギー源として注目されていますが、いくつかの課題も抱えています。

まず、生産・供給体制の構築に多額の費用がかかります。天然ガスをマイナス162℃まで冷却して液体にするには、大規模な液化設備が必要です。また、液化したLNGを輸送・貯蔵するためには、専用の船舶やタンク、パイプラインなどのインフラも必要となります。これらの設備投資には莫大な費用がかかり、それがLNGの価格に反映されることになります。

さらに、輸送ルートが限定されるという課題もあります。LNGは、液化することで体積が約600分の1に減少し、大量輸送が可能となります。しかし、前述の通り、輸送には専用の船舶やパイプラインが必要となるため、輸送ルートが限定されてしまいます。そのため、特定の地域での需要増加や供給途絶などが発生した場合、価格が高騰したり、安定供給が難しくなる可能性があります。

これらの課題を克服するために、技術開発やインフラ整備が進められています。しかし、LNGの安定供給を実現するためには、生産国と消費国が協力して課題解決に取り組むことが重要です。

項目 課題
費用 生産・供給体制の構築に多額の費用がかかる(液化設備、輸送船舶・タンク、パイプラインなど)
輸送ルート LNG輸送には専用の船舶やパイプラインが必要なため、輸送ルートが限定される
課題解決 技術開発やインフラ整備、生産国と消費国の協力が必要

LNGの将来

LNGの将来

– 液化天然ガスの未来

世界中でエネルギー需要が高まり、それと同時に環境問題への対策が急務となる中、液化天然ガス(LNG)は、その将来を期待されるエネルギー源として注目されています。

LNGは、従来のエネルギー源である石炭や石油と比較して、燃焼時に発生する二酸化炭素排出量が少なく、環境負荷が低いという点で優れています。地球温暖化の抑制が喫緊の課題として認識されている今日において、LNGは地球環境保全に貢献できるクリーンなエネルギー源として、その価値が再認識されています。

また、LNGは、貯蔵や輸送が容易であるという利点も持ち合わせています。気体の天然ガスをマイナス162度まで冷却し液体にすることで、体積を約600分の1に縮小できるため、大量輸送が可能となります。このため、LNGはパイプラインの敷設が難しい地域や国々に対しても、エネルギーを安定供給できる手段として期待されています。

さらに、世界的に天然ガス資源の開発が進んでいることも、LNGの需要増加を後押しする要因となっています。技術革新により、これまで採掘が困難であったシェールガスやメタンハイドレートなどの非在来型天然ガス資源の開発が進み、LNGの供給源はますます多様化していくと予想されます。

これらの要素を総合的に判断すると、LNGは、エネルギー需要の増加と環境問題への対応という、世界のエネルギー事情が抱える二つの課題を解決する可能性を秘めたエネルギー源と言えるでしょう。今後、LNGは世界中でその需要を拡大し、エネルギーミックスにおける重要な役割を担っていくと考えられます。

項目 内容
環境負荷 – 二酸化炭素排出量が少なく、環境負荷が低い
貯蔵・輸送 – 気体を液体化することで体積を縮小できるため、貯蔵や輸送が容易
– パイプライン敷設が難しい地域へのエネルギー供給が可能
供給 – シェールガスやメタンハイドレートなどの開発により、供給源の多様化が期待される
将来性 – エネルギー需要の増加と環境問題への対応という課題を解決する可能性
– エネルギーミックスにおける重要な役割を担うと予想される