放射線管理手帳:被ばく歴を守る重要な記録

放射線管理手帳:被ばく歴を守る重要な記録

電力を見直したい

『放射線管理手帳』って、どんなものですか?

電力の研究家

放射線管理手帳は、放射線を使った仕事をする人が必ず持つ、健康を守るための大切な手帳なんだ。簡単に言うと、放射線を浴びた量を記録する手帳だよ。

電力を見直したい

へえー、放射線を浴びた量を記録する手帳なんですね。 なんで記録しておく必要があるのですか?

電力の研究家

放射線を浴びすぎると体に良くない影響があるからだよ。手帳に記録することで、どのくらい浴びたかを把握して、健康を管理することができるんだ。

放射線管理手帳とは。

「放射線管理手帳」とは、原子力発電など、放射線を使った仕事をする人が、放射線の影響で健康を損ねないように、過去の仕事の記録や放射線を浴びた量などを書き込む手帳のことです。手帳には、本人の顔写真や放射線従事者中央登録センターの登録番号、氏名、生年月日などが書かれ、さらに、手帳をもらった記録や仕事が変わってからの経歴、放射線を浴びた記録、健康診断の結果、放射線から身を守るための教育を受けた記録なども書き込む欄があります。放射線を使った仕事をする人は、きちんと管理されたこの手帳を持つことが義務付けられており、仕事の前に、仕事を取り仕切る会社などに手帳を見せる必要があります。放射線を使った仕事をする人の被ばく量をきちんと管理するために、1977年11月に、放射線影響協会の中に放射線従事者中央登録センターが作られました。この登録センターは、原子炉等規制法という法律に基づいて、放射線管理の記録を受け渡ししたり、登録したり、管理したりする機関として、1978年1月に科学技術庁長官から、同年12月には通商産業大臣からそれぞれ指定を受けました。そして、1979年4月から放射線管理手帳の制度が本格的に始まりました。

放射線管理手帳とは

放射線管理手帳とは

– 放射線管理手帳とは放射線管理手帳は、原子力発電所や医療機関など、放射線を取り扱う職場で働く人にとって、健康を守る上で欠かせないものです。この手帳は、一人ひとりの放射線業務への従事記録と、それによって受ける線量の記録を生涯にわたって管理するためのものです。原子力発電所などで働く人は、日々の業務の中で微量の放射線を浴びる可能性があります。 放射線は目に見えず、また、その影響はすぐに現れるものではありません。しかし、長期間にわたって浴び続けると、健康に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、放射線による健康影響から働く人を守るために、放射線管理手帳が用いられています。手帳には、いつ、どこで、どれだけの時間、どのような放射線業務に従事したのか、そして、その際にどれだけの線量を受けたのかが記録されます。 この記録は、過去の被ばく線量を把握するだけでなく、将来的な健康影響のリスク評価にも役立ちます。 例えば、長期間にわたって一定以上の線量を浴びた人に対しては、健康診断の回数を増やすなどの措置を講じることができます。このように、放射線管理手帳は、放射線業務に従事する人々の健康を守る上で非常に重要な役割を担っています。

アイテム 詳細
定義 原子力発電所や医療機関など、放射線を取り扱う職場で働く人の放射線業務への従事記録と、それによって受ける線量の記録を生涯にわたって管理するための手帳
目的 放射線による健康影響から働く人を守る
内容 いつ、どこで、どれだけの時間、どのような放射線業務に従事したのか、その際にどれだけの線量を受けたのか
活用法 過去の被ばく線量を把握、将来的な健康影響のリスク評価
(例:長期間にわたって一定以上の線量を浴びた人に対しては、健康診断の回数を増やすなどの措置)
重要性 放射線業務に従事する人々の健康を守る上で非常に重要

手帳の内容と役割

手帳の内容と役割

– 手帳の内容と役割放射線業務に従事する人は、健康を適切に管理し、万が一の被ばく事故発生時にも迅速に対応できるよう、専用の「手帳」を常に携帯することが義務付けられています。この手帳は、一見すると一般的な手帳と変わらないように見えますが、放射線業務に関わる重要な個人情報と記録が詰まった大切なものです。まず、手帳を開くと顔写真とともに、放射線従事者中央登録センターに登録されている番号、氏名、生年月日といった基本的な個人情報が記載されています。これは、手帳の所有者が確かに放射線業務に従事する者であることを証明するとともに、事故発生時など、個人を特定するために必要な情報です。さらに、手帳には所有者の放射線業務に関する詳細な経歴が記録されます。いつ、どこで手帳が発行され、その後、所属や業務内容に変更があった場合はその都度記録されます。過去の記録を辿ることで、どの程度の期間、どのような放射線業務に従事してきたのか、経歴を容易に把握することができます。そして最も重要なのが被ばく歴の記録です。従事者は業務中にどれだけの放射線を浴びたか、その量を事業者に報告する義務があり、事業者はこの手帳にその記録を正確に記載します。過去の被ばく線量の情報は、将来的な健康影響を予測したり、適切な放射線防護対策を検討したりする上で欠かせない情報源となります。また、放射線業務に従事する上で必要となる健康診断の結果や、専門知識や安全管理に関する教育を受けた記録なども、この手帳に集約して記録されます。このように、手帳は事業者側が従事者の被ばく状況を把握し、適切な放射線防護措置を講じるために必要な情報を一元的に管理する重要な役割を担っているのです。

項目 内容 役割
基本情報 顔写真、放射線従事者中央登録センター登録番号、氏名、生年月日 手帳所有者が放射線業務に従事していることの証明、事故発生時などの個人特定
放射線業務経歴 手帳の発行日、所属、業務内容の変更履歴 従事者の放射線業務従事期間、業務内容の把握
被ばく歴 業務中の放射線被ばく量の記録 将来的な健康影響の予測、適切な放射線防護対策の検討
健康診断結果、教育受講記録 放射線業務従事に関する健康診断結果、専門知識や安全管理に関する教育の受講記録 事業者による従事者の被ばく状況の把握、適切な放射線防護措置の実施

手帳の所持と提示

手帳の所持と提示

放射線業務に従事する方々は、業務中に常に放射線被ばくの可能性にさらされています。そのため、自身の被ばく線量を把握し、健康への影響を最小限に抑えることが非常に重要となります。そこで、放射線業務に従事する方々には、法律で「放射線業務従事者手帳」の携帯と、事業者からの要求に応じた提示が義務付けられています。

この手帳は、日々の業務における被ばく線量の記録や、定期的な健康診断の結果などが記載され、個人の被ばく履歴を管理するための重要なツールです。事業者は、従事者の手帳の内容を確認することで、過去の被ばく線量や健康状態を把握し、作業内容や作業時間の調整など、被ばくを適切に管理するための対策を講じることができます。これにより、従事者が過剰な被ばくを受けることを未然に防ぐことができるのです。

また、万が一、放射線事故が発生した場合、この手帳は被ばくした人の健康を守るための重要な情報源となります。手帳に記録された被ばく線量や過去の健康診断の結果は、医師が適切な治療方針を決定する上で大変重要な判断材料となります。迅速かつ的確な医療措置を講じるためにも、放射線業務に従事する方々は、常に手帳を携帯し、事業者からの要求には速やかに応じることが求められます。

対象 目的 内容 効果
放射線業務従事者
  • 自身の被ばく線量を把握
  • 健康への影響を最小限に抑える
  • 日々の業務における被ばく線量の記録
  • 定期的な健康診断の結果
個人の被ばく履歴の管理
事業者
  • 従事者の被ばく線量や健康状態を把握
  • 被ばくを適切に管理するための対策を講じる
従事者の手帳の内容を確認
  • 従事者が過剰な被ばくを受けることを未然に防ぐ
  • 放射線事故発生時の適切な治療方針決定

制度の運用開始

制度の運用開始

放射線業務に従事する方の健康と安全を守ることは、原子力利用において非常に重要です。人体への影響が大きい放射線を取り扱う以上、被ばく線量を適切に管理し、健康へのリスクを最小限に抑える必要があるからです。
こうした背景から、1977年11月に放射線業務に従事する方の被ばく線量を一元管理する機関として、放射線従事者中央登録センターが設立されました。関係省庁からの指定を受け、2年後の1979年4月には、放射線管理手帳制度の運用が開始されました。
この制度では、放射線業務に従事する方一人ひとりに管理手帳が交付され、過去の被ばく線量の記録や健康診断の結果などが記録されます。これにより、個々の作業員の被ばく線量の履歴を把握できるようになり、健康管理や被ばく線量の低減対策に役立てることが可能となりました。
放射線管理手帳制度は、その後も時代の変化に合わせて改正が重ねられ、現在も放射線業務に従事する方の健康と安全を守るための重要な制度として運用されています。

項目 内容
目的 放射線業務に従事する方の被ばく線量を一元管理し、健康へのリスクを最小限に抑える
背景 人体への影響が大きい放射線を取り扱う上で、被ばく線量の適切な管理が必要
設立 1977年11月 放射線従事者中央登録センター設立
制度開始 1979年4月 放射線管理手帳制度運用開始
内容 放射線業務に従事する方一人ひとりに管理手帳を交付し、過去の被ばく線量の記録や健康診断の結果などを記録
効果 個々の作業員の被ばく線量の履歴を把握できるようになり、健康管理や被ばく線量の低減対策に役立つ
現状 時代の変化に合わせて改正が重ねられ、現在も運用されている