
原子炉の安全弁: 主蒸気逃し弁
原子力発電所の心臓部とも言える原子炉は、常に安全に稼働していることが不可欠です。その安全を担う重要な装置の一つに、主蒸気逃し弁があります。これは、原子炉で発生させた蒸気の熱を利用してタービンを回し発電する、加圧水型原子炉(PWR)というタイプの原子炉に設置されています。
主蒸気逃し弁は、原子炉内で蒸気を発生させる装置である蒸気発生器で作り出された蒸気の圧力が、異常に上昇した場合に作動します。蒸気発生器で発生した蒸気は通常、タービンへと送られますが、何らかの原因でタービンへ蒸気を送ることができない状態になると、原子炉内の圧力が上昇し、原子炉の安全運転に支障をきたす可能性があります。このような事態を防ぐため、主蒸気逃し弁は、原子炉内の圧力が設定値を超えた場合、自動的に開きます。そして、過剰な蒸気を大気中に放出することで、原子炉内の圧力を適切な範囲に保ち、原子炉の安全を維持します。これは、ちょうど圧力鍋の安全弁と同じような役割を果たしていると言えます。主蒸気逃し弁は、原子炉の安全を確保するために非常に重要な役割を担っているのです。