原子力施設

原子力施設

原子力発電の安全を守る:アイテム施設の役割

- アイテム施設とは? 原子力発電所などには、安全を確保するために、特に厳重に管理しなければならない施設が存在します。それが「アイテム施設」です。 アイテム施設では、ウランやプルトニウムといった、核兵器の製造にも使用できる核物質を取り扱います。このような施設では、核物質が外部に持ち出されたり、不正に利用されたりするリスクを最小限に抑える必要があります。そのため、通常の施設よりも厳格な査察が行われます。 具体的には、核物質を燃料集合体のような、簡単には持ち運びできない形状で保管・使用している施設がアイテム施設に該当します。例えば、原子力発電の心臓部である発電用原子炉や、核物質の反応を制御して実験を行う実験炉、新しい技術開発などに用いられる研究炉などが代表的な例です。 これらの施設では、核物質の量を常に正確に把握し、盗難や紛失を防ぐための厳重なセキュリティシステムを導入しています。また、不正アクセスや破壊行為を防ぐための物理的な防護措置も講じられています。国際原子力機関(IAEA)による査察も定期的に行われ、核物質が平和的に利用されているかどうかが厳しくチェックされています。
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アイスコンデンサ型原子炉の仕組み

- アイスコンデンサ型原子炉とはアイスコンデンサ型原子炉は、万が一の原子炉の事故に備え、格納容器内に大量の氷を貯蔵しておくという特徴を持つ原子炉です。原子炉で作り出された熱は、通常運転時には一次冷却材と呼ばれる水によって運び出され、蒸気発生器で二次冷却水を蒸気に変えることで、タービンを回し発電を行います。しかし、配管の破損などにより一次冷却材が失われてしまうと、原子炉で発生した熱を十分に冷やすことができなくなり、炉心の温度が急上昇する可能性があります。このような事態を一次冷却材喪失事故と呼びます。アイスコンデンサ型原子炉では、この一次冷却材喪失事故が発生した場合でも、格納容器内に設置された大量の氷によって原子炉から発生する高温高圧の蒸気を冷却し、格納容器内の圧力と温度の上昇を抑制することで、格納容器の破損を防ぎ、放射性物質の外部への漏洩を防ぎます。 アイスコンデンサは、この大量の氷を貯蔵しておくための設備です。アイスコンデンサ型原子炉は、安全性が高いと考えられていますが、氷の維持管理にコストがかかることや、格納容器が大型化するという点が課題として挙げられます。