日米共同研究:JUPITER計画

日米共同研究:JUPITER計画

電力を見直したい

先生、「JUPITER計画」って、何ですか?なんか、難しそうな名前だけど、どんなことをした計画なの?

電力の研究家

よくぞ聞いてくれました!「JUPITER計画」はね、簡単に言うと、日本とアメリカが協力して、安全で効率的な原子力発電を目指して行った、とっても大きな実験の計画なんだよ。

電力を見直したい

へえー、日本とアメリカが協力してたんですね!具体的には、どんな実験をしたんですか?

電力の研究家

「高速増殖炉」って聞いたことあるかな? 将来の原子力発電の方式として期待されているものなんだけど、その心臓部にあたる「炉心」の実験を、実際に近い大きさで行ったんだよ。そして、その実験で得られたデータは、今でも日本の高速増殖炉の設計に役立っているんだ。

JUPITER計画とは。

「JUPITER計画」は、原子力発電に関する言葉で、日本の動燃(今は核燃料サイクル開発機構)とアメリカのエネルギー省が協力して行った大きな研究プロジェクトです。この計画では、60万から100万キロワット級の大型高速増殖炉の炉心を模擬して、臨界状態にする実験を行いました。これは、大型高速炉の炉心の設計や核設計の方法が正しいかを確かめるために必要な情報を得ることを目的としていました。実験には、アメリカのアルゴンヌ国立研究所にある高速臨界実験装置ZPPRが使われ、プルトニウム燃料が約3トン用いられました。実験は1978年から1989年までの間に行われ、合計21種類の炉心の組み合わせで実験が行われました。この実験で得られた情報は、日本における大型高速増殖炉の炉心の核設計にとって、最も重要な実験データとして、現在も活用されています。

高速増殖炉開発における日米協力

高速増殖炉開発における日米協力

– 高速増殖炉開発における日米協力1970年代から1980年代にかけて、日本とアメリカは共同で、高速増殖炉の実用化を目指した大型研究プロジェクトに取り組みました。このプロジェクトは「JUPITER計画」と呼ばれ、これは「Japan-United States Program of Integral Test and Experimental Researches」の略称です。当時の日本の原子力開発を牽引していた動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現在の日本原子力研究開発機構)と、アメリカのエネルギー省(DOE)が協力し、高速増殖炉の実用化に不可欠な様々なデータを取得、解析を行いました。高速増殖炉は、従来の原子炉とは異なり、ウラン資源をより効率的に利用できるだけでなく、使用済み燃料を再処理して燃料として使うことができるという特徴を持っています。そのため、将来のエネルギー問題解決への貢献が期待されていました。JUPITER計画では、日米両国の英知を結集し、高速増殖炉の安全性、信頼性、経済性など、様々な観点から研究開発が進められました。JUPITER計画を通じて得られた貴重なデータや知見は、その後の日米両国における高速増殖炉開発に大きく貢献しました。日米の協力は、単に技術的な側面だけでなく、研究者同士の交流や相互理解を促進するなど、多岐にわたる成果をもたらしました。JUPITER計画は、国際協力によって原子力技術の平和利用を推進した輝かしい事例として、現在も高く評価されています。

項目 内容
プロジェクト名 JUPITER計画 (Japan-United States Program of Integral Test and Experimental Researches)
期間 1970年代~1980年代
参加機関 日本:動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現在の日本原子力研究開発機構)
アメリカ:エネルギー省(DOE)
目的 高速増殖炉の実用化
高速増殖炉の特徴
  • ウラン資源をより効率的に利用可能
  • 使用済み燃料の再処理・再利用が可能
JUPITER計画の成果
  • 高速増殖炉の安全性、信頼性、経済性に関するデータ取得・解析
  • 日米両国における高速増殖炉開発への貢献
  • 研究者間の交流・相互理解促進
  • 国際協力による原子力技術の平和利用推進の事例

大型炉心の臨界実験

大型炉心の臨界実験

– 大型炉心の臨界実験日本の原子力開発において重要な役割を担ったJUPITER計画は、将来のエネルギー需要を満たすために、60万~100万kW級の大型高速増殖炉の実現を目指していました。 この計画の要となるのが、炉心の設計に必要なデータを収集する臨界実験です。臨界実験とは、核分裂反応が持続する臨界状態を作り出し、その際の様々なデータを取得する実験です。JUPITER計画では、アメリカ合衆国イリノイ州にあるアルゴンヌ国立研究所に設置された高速臨界実験装置「ZPPR」を使用しました。ZPPRは、プルトニウム燃料を大量に積載できる大規模な実験装置であり、実際の炉心に極めて近い状態で実験を行うことが可能であることから、世界中の研究者から注目を集めていました。ZPPRを用いた臨界実験では、様々な形状や燃料組成の大型炉心を模擬し、臨界量や中性子分布、反応度係数など、炉心の安全設計や運転制御に不可欠なデータを取得しました。 これらの実験データは、その後の高速増殖炉の開発において非常に重要な役割を果たし、日本の原子力技術の進歩に大きく貢献しました。JUPITER計画は、日米共同の大規模プロジェクトとして、1977年から1992年まで実施されました。ZPPRでの臨界実験は、計画の要となる部分を担い、その成果は世界中の高速増殖炉開発に大きな影響を与えました。

項目 内容
計画名 JUPITER計画
目的 60万~100万kW級の大型高速増殖炉の実現
実施期間 1977年~1992年
実験内容 大型炉心の臨界実験
使用装置 高速臨界実験装置「ZPPR」(アメリカ合衆国イリノイ州アルゴンヌ国立研究所)
実験の重要性 – 実際の炉心に極めて近い状態で実験が可能
– 炉心の安全設計や運転制御に不可欠なデータを取得
実験データの活用 – 高速増殖炉の開発
– 日本の原子力技術の進歩に貢献
計画の成果 世界中の高速増殖炉開発に影響

21種類の炉心を用いた実験

21種類の炉心を用いた実験

我が国のエネルギー開発において重要な役割を担う原子力発電技術の発展を目的とした「JUPITER計画」では、1978年から1989年までの約10年間にわたり、原子炉の心臓部である炉心の重要性を検証するため、大規模な実験が実施されました。
この計画では、合計21種類もの炉心が設計・製作されました。それぞれの炉心は、原子炉の燃料となるウランやプルトニウムの種類や、それらの配置が調整され、さらに原子炉の出力を制御する制御棒の位置も変更することで、実際の原子炉の様々な運転状態を模擬できるようになっていました。
実験では、これらの炉心を用いて、原子炉の安全性、効率性、そして運転の制御性など、多岐にわたる項目について詳細なデータが収集されました。この計画で得られた膨大なデータは、原子炉の設計や運転技術の向上に大きく貢献し、日本の原子力発電技術をより安全で信頼性の高いものへと発展させるための礎となりました。

項目 内容
計画名 JUPITER計画
期間 1978年~1989年(約10年間)
目的 原子力発電技術の発展、炉心の重要性検証
内容 21種類の炉心を設計・製作し、様々な運転状態を模擬
安全性、効率性、制御性など、多岐にわたるデータ収集
成果 原子炉の設計や運転技術の向上に貢献、日本の原子力発電技術の安全性・信頼性向上に寄与

日本の高速炉開発に貢献

日本の高速炉開発に貢献

日本の高速炉開発において、日米共同研究のJUPITER計画は、その後の開発を大きく前進させる上で欠かせないものでした。この計画では、高速増殖炉の開発に必要な膨大な実験データを取得することに成功し、その成果は現在の高速増殖炉の実現可能性を高める上で重要な役割を果たしています。

特に、JUPITER計画によって得られたデータは、大型炉心の核設計技術向上に大きく貢献しました。高速増殖炉は、従来の原子炉に比べて複雑な構造を持つ大型炉心であるため、その設計には高度な技術と正確なデータが不可欠です。JUPITER計画で得られた実験データは、炉心の安全性や効率性を高めるためのシミュレーションや解析に活用され、日本の高速増殖炉開発を大きく前進させました。

JUPITER計画は、日米両国の協力によって原子力研究の成功例として、国際的にも高く評価されています。これは、原子力分野における国際協力の重要性を示すものであり、将来の原子力技術開発に向けても大きな意義を持つものです。

項目 内容
計画名 JUPITER計画 (日米共同研究)
目的 高速増殖炉開発に必要な実験データ取得
成果 膨大な実験データ取得、特に大型炉心の核設計技術向上に貢献
意義 日本の高速増殖炉開発を大きく前進、原子力分野における国際協力の成功例

未来の原子力技術へ

未来の原子力技術へ

未来の原子力技術として期待を集めている高速増殖炉。その実現に向けた重要な一歩として、日本原子力研究開発機構が推進してきたのが「JUPITER計画」です。この計画では、高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」を用いて、実際の運転を通じて様々なデータを取得し、技術的な課題の克服や安全性の実証に取り組んできました。
JUPITER計画で得られた貴重なデータや経験は、今後の高速増殖炉の実用化に向けて大きく貢献することが期待されています。高速増殖炉は、従来の原子炉では利用が難しかったウラン資源を有効活用できるだけでなく、高レベル放射性廃棄物の発生量を抑制できる可能性も秘めています。
原子力発電は、エネルギー資源の乏しい我が国にとって重要な役割を担っています。将来のエネルギー需給の安定化、地球温暖化問題の解決、そして資源の有効利用という観点からも、高速増殖炉の実用化は、原子力発電が抱える課題を克服し、その潜在能力を最大限に引き出すための重要な鍵となるでしょう。

項目 内容
計画名 JUPITER計画
目的 高速増殖炉の実現に向けた技術的課題の克服や安全性の実証
使用炉 高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」
期待される効果 – ウラン資源の有効活用
– 高レベル放射性廃棄物の発生量抑制
– エネルギー需給の安定化
– 地球温暖化問題の解決
– 資源の有効利用