高速炉燃料再処理技術試験施設 (RETF)

高速炉燃料再処理技術試験施設 (RETF)

電力を見直したい

先生、RETFってなんですか?図に書いてある「高速炉燃料の再処理技術の確立を目指し・・・」って部分が難しくてよくわかりません。

電力の研究家

なるほど。確かに難しい言葉が並んでいるね。簡単に言うと、RETFとは、使い終わった原子炉の燃料を再利用するための技術を研究するための施設のことだよ。高速炉という種類の原子炉の燃料を再処理する施設なんだ。

電力を見直したい

高速炉の燃料って、普通の原子炉の燃料と何が違うんですか?

電力の研究家

良い質問だね!高速炉の燃料は、普通の原子炉の燃料よりも燃え尽き方が intense なんだ。だから、再処理するのもより高度な技術が必要になるんだよ。RETFは、その難しい技術を開発するために作られた施設なんだよ。

RETFとは。

「原子力発電でよく聞く『リサイクル機器試験施設』は、使い終わった燃料を再利用するための技術を確立するための施設です。この施設では、実際に高速炉で使われていた燃料を使って、プープレックス法という方法を元にした本格的な再処理試験が行われています。施設の仕組みは図を見てください。
高速炉の燃料は、普通の原子炉の燃料と比べると、よく燃えるため核分裂でできる物質の割合が多く、プルトニウムも多く含まれているため、臨界管理が難しく、さらに燃料を包む材料なども違うため、処理する上で特別な注意が必要です。
これからは、コストや環境問題など、社会の要請の変化に対応するため、乾式再処理などの新しい再処理技術の開発を目指しています。

高速炉燃料再処理技術試験施設とは

高速炉燃料再処理技術試験施設とは

– 高速炉燃料再処理技術試験施設とは高速炉燃料再処理技術試験施設(RETF)は、かつて動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)が運用していた施設です。この施設は、将来のエネルギー源として期待される高速増殖炉の燃料サイクルを実現するために不可欠な、使用済み燃料の再処理技術開発を目的として建設されました。高速増殖炉は、ウラン資源を有効活用できる夢の原子炉として知られていますが、その燃料サイクルには、使用済み燃料からプルトニウムとウランを分離回収し、再び燃料として利用する再処理技術が欠かせません。RETFは、実際に高速炉で使用された燃料を用いた湿式法(Purex法)と呼ばれる技術を用いた再処理試験を実施するために、1998年から2004年にかけて運転されました。この施設では、運転期間中に約10トンもの使用済み高速炉燃料の再処理を行い、プルトニウムとウランを分離回収することに成功しました。そして、これらの成果は、将来の高速炉燃料再処理技術の高度化に大きく貢献することとなります。現在、RETFは運転を終了していますが、そこで得られた貴重なデータや知見は、将来の高速炉開発に向けて、今もなお活用され続けています。

項目 内容
施設名 高速炉燃料再処理技術試験施設(RETF)
運営主体(当時) 動力炉・核燃料開発事業団(現:日本原子力研究開発機構)
目的 高速増殖炉の燃料サイクル実現に必要な、使用済み燃料再処理技術の開発
再処理技術 湿式法(Purex法)
運転期間 1998年~2004年
処理量 約10トン
成果 高速炉燃料からのプルトニウムとウランの分離回収に成功
将来の高速炉燃料再処理技術の高度化に貢献
現状 運転終了
得られたデータや知見は将来の高速炉開発に活用

高速炉燃料再処理の課題

高速炉燃料再処理の課題

– 高速炉燃料再処理の課題高速炉は、ウラン資源の有効利用や放射性廃棄物の減容・有害度低減の観点から期待される原子炉です。使用済み燃料を再処理し、燃料として再び利用する核燃料サイクルを確立することは、高速炉の開発において重要な課題です。高速炉燃料の再処理は、現在主流となっている軽水炉燃料の再処理と比べていくつかの課題があります。まず、高速炉燃料は軽水炉燃料よりも高い燃焼度を持つため、核分裂によって生じる生成物の量が多くなります。これは、再処理プロセスにおける分離・精製工程の複雑化や、廃棄物発生量の増加につながる可能性があります。次に、高速炉燃料はプルトニウムの濃度が高いため、核物質防護の観点から、より厳重な臨界管理が必要となります。臨界とは、核分裂の連鎖反応が制御されない状態になることであり、これを防ぐためには、再処理施設の設計や運転方法に特別な配慮が必要です。さらに、高速炉燃料は被覆管などの材料が軽水炉燃料と異なるため、再処理プロセスにも変更が必要となります。例えば、軽水炉燃料の再処理で広く用いられているPUREX法を高速炉燃料に適用する場合、新たな溶解技術や溶媒抽出技術の開発が必要となります。これらの課題を克服するために、これまでに様々な技術開発が行われてきました。例えば、日本では、高速実験炉「常陽」や高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転経験を踏まえ、乾式再処理技術や溶融塩電解法などの革新的な再処理技術の研究開発が進められてきました。これらの技術開発は、高速炉燃料の再処理における課題解決に貢献すると期待されています。

課題 詳細
生成物の増加 高速炉燃料は燃焼度が高いため、核分裂生成物が増加し、分離・精製工程が複雑化し、廃棄物発生量が増加する可能性があります。
臨界管理の厳重化 プルトニウム濃度が高いため、臨界を防止するための厳重な管理体制が必要となります。
再処理プロセスの変更 被覆管材料の違いにより、軽水炉燃料の再処理プロセス (PUREX法など) に変更が必要となり、新たな溶解技術や溶媒抽出技術の開発が必要となります。

試験施設の構成

試験施設の構成

– 試験施設の構成再処理技術開発センター(RETF)は、使用済み燃料から再び燃料として利用可能なウランやプルトニウムを取り出す再処理を行うための様々な設備から構成されています。ここでは、主な設備とその役割について詳しく見ていきましょう。まず、使用済み燃料が施設に搬入されると、「燃料受入れ貯蔵設備」に保管されます。ここでは、燃料の冷却や放射能の減衰を待ちながら、再処理に向けた準備が行われます。次に、再処理工程の最初の段階として、「燃料溶解設備」において使用済み燃料を硝酸で溶解します。これにより、ウランやプルトニウムを含む「燃料溶解液」が生成されます。燃料溶解液には、ウランやプルトニウム以外にも様々な物質が含まれているため、次の工程である「分離設備」でそれらを分離する必要があります。ここでは、化学的な処理によってウランとプルトニウムを含む溶液と、その他の物質を含む廃液に分離されます。その後、ウランとプルトニウムは、それぞれ「ウラン精製設備」「プルトニウム精製設備」に送られ、高純度の状態にまで精製されます。こうして精製されたウランとプルトニウムは、再び原子力発電の燃料として利用可能な形となります。このように、RETFはそれぞれの役割を持つ複数の設備が有機的に連携することで、安全かつ効率的に再処理を行うことができる試験施設なのです。

設備名 役割
燃料受入れ貯蔵設備 使用済み燃料の冷却、放射能の減衰、再処理の準備
燃料溶解設備 硝酸を用いた使用済み燃料の溶解、燃料溶解液の生成
分離設備 ウラン・プルトニウムを含む溶液と廃液の分離
ウラン精製設備 高純度ウランの精製
プルトニウム精製設備 高純度プルトニウムの精製

今後の展望

今後の展望

再処理技術試験施設(RETF)での試験運転は、惜しまれつつも終了しました。しかし、そこで得られた貴重なデータや経験は、決して無駄になることはありません。未来の高速炉燃料再処理技術の開発に、しっかりと受け継がれていくのです。

現在、経済性と環境負荷低減の両面から、従来の湿式再処理に代わる、乾式再処理などの革新的な再処理技術の開発に大きな期待が寄せられています。乾式再処理は、水を使わずに高温で燃料を処理するため、廃液の発生量を大幅に削減できるというメリットがあります。また、工程の簡素化によるコスト削減も見込めることから、高速炉サイクルの実用化を大きく前進させる可能性を秘めています。

これらの技術開発が進むことで、高速炉サイクルの実用化はより現実的なものとなり、エネルギー問題の解決に向けて大きく貢献することが期待されます。資源の有効活用、エネルギー安全保障の強化、地球温暖化対策など、高速炉サイクルがもたらす恩恵は計り知れません。RETFでの経験を礎に、高速炉サイクルの実現に向けて、技術開発はこれからも力強く進んでいくでしょう。

項目 内容
従来の再処理技術 湿式再処理
革新的な再処理技術 乾式再処理など
乾式再処理のメリット – 水を使わないため、廃液発生量を大幅削減
– 工程の簡素化によるコスト削減
高速炉サイクルのメリット – 資源の有効活用
– エネルギー安全保障の強化
– 地球温暖化対策