発電効率を高める複合システム
電力を見直したい
先生、この文章にある『総合発電効率』って一体何ですか?普通の発電効率と何が違うんですか?
電力の研究家
良い質問だね!普通の発電効率は、一つの発電方法でどれだけ電気を作り出せるかを示すものなんだ。例えば、石炭を燃やして発電する火力発電だと、石炭の持つエネルギーのうち、約40%が電気になって、残りは熱として逃げてしまう。この40%が発電効率だよ。
電力を見直したい
なるほど。じゃあ、総合発電効率は複数の発電方法を使う場合の効率ということですか?
電力の研究家
その通り!例えば、ガスタービンで発電した後に残る熱を使って、さらに蒸気タービンを回して発電する複合発電って方法があるんだ。こうすると、熱を無駄なく使えて、総合的に見ると発電効率が50%以上に上がるんだよ。
総合発電効率とは。
火力発電所や原子力発電所では、蒸気を使ってタービンを回して電気を作っています。この方法だと、どんなに頑張っても燃料のエネルギーの約40%しか電気に変えられません。これはもう技術の限界に近いです。そこで、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方法が考えられました。複数の発電方法を組み合わせた場合の効率を測る指標として「総合発電効率」があります。これは、燃料として使ったエネルギーの総量に対して、実際に発電できた電気の量の割合を示します。複合発電システムの場合、総合発電効率は50%から55%程度まで向上させることができます。さらに、ガスタービンや蒸気タービンから出る高温の排気や蒸気を、冷暖房や熱供給に利用すれば、もっと省エネを進めることができます。石炭を使った複合発電システムの仕組みを図に示します。
発電効率の限界
発電所では、電気を作るために様々な工程を経てエネルギーを変換しています。石炭火力発電所や原子力発電所の場合、まず燃料を燃焼させて熱エネルギーを作り出し、その熱で水を沸騰させて高温高圧の蒸気を発生させます。そして、この蒸気の力で蒸気タービンという羽根車を回転させ、その回転エネルギーを利用して発電機を動かしてようやく電気エネルギーが生まれます。
この、燃料のエネルギーを最終的に電気エネルギーに変換する際の効率のことを発電効率と呼びます。発電効率が高ければ高いほど、燃料を有効活用して多くの電気を作り出すことができます。しかしながら、現在の技術をもってしても、発電効率は高くても40%程度にとどまっています。これは、熱力学の法則による制約があり、どうしても熱エネルギーの一部を環境中に放出せざるを得ないためです。
例えば、蒸気を利用してタービンを回した後、その蒸気は温度が下がり、再び水に戻す必要があります。この冷却の過程で、どうしても熱が周囲に逃げてしまいます。このような熱の損失が積み重なり、発電効率は理論的な限界値に近づいており、大幅な改善は難しいと考えられています。
発電所 | エネルギー変換プロセス | 発電効率 |
---|---|---|
石炭火力発電所、原子力発電所 | 燃料燃焼 -> 熱エネルギー -> 蒸気 -> タービン回転 -> 電気エネルギー | 最大40%程度 |
複合発電システムによる効率向上
電力を作る効率をもっと上げるには、異なる発電方法を組み合わせるのが効果的です。その代表的な例が、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた複合発電システムです。
ガスタービンは、燃料を燃やして高温高圧のガスを作り、そのガスでタービンを回転させて発電します。簡単に言うと、ジェットエンジンと同じ仕組みで発電していると言えます。一方、蒸気タービンは、高温のガスで水を沸騰させて蒸気を作り、その蒸気でタービンを回転させて発電します。こちらは火力発電所と同じ仕組みです。
複合発電システムでは、ガスタービンで発電した後に残る排ガスの熱を利用して蒸気タービンを動かします。ガスタービン単体では捨てられていた排ガスの熱を有効活用することで、燃料をより効率的に使うことができ、高い発電効率を実現できるのです。 複合発電システムの発電効率は、ガスタービン単体や蒸気タービン単体よりも高くなり、燃料の消費量を抑えられます。環境への負荷を低減できる発電方法として注目されています。
発電方法 | 仕組み | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ガスタービン | 燃料を燃やし、高温高圧ガスでタービンを回して発電(ジェットエンジンと同じ) | – | 排ガスの熱が無駄になる |
蒸気タービン | 高温ガスで水を沸騰させ、蒸気でタービンを回して発電(火力発電と同じ) | – | – |
複合発電システム | ガスタービンで発電した後の排ガス熱を利用して蒸気タービンも稼働 | – 発電効率が高い – 燃料消費量を抑えられる – 環境負荷を低減できる |
– |
総合発電効率
電力会社は、私たちが必要とする電力を安定して供給するために、火力発電、水力発電、原子力発電など、さまざまな発電方式を組み合わせて運用しています。このように複数の発電方式を組み合わせた場合、それぞれの発電システムにおけるエネルギー変換効率だけでなく、システム全体でのエネルギー効率を評価することが重要になります。
火力発電所では、石油や石炭、天然ガスといった燃料を燃焼させて高温・高圧の水蒸気を発生させ、その力でタービンを回転させて発電を行います。一方、水力発電所では、ダムに貯めた水の位置エネルギーを利用して水車を回し、発電機を動かして発電します。また、原子力発電所では、ウラン燃料の核分裂反応によって発生する熱エネルギーを使って水蒸気を発生させ、火力発電と同様にタービンを回転させて発電します。
これらの発電方式を組み合わせた場合、それぞれのシステムにおけるエネルギー変換効率だけでなく、システム全体でどれだけのエネルギー効率を達成できるかを評価する必要があります。この指標として用いられるのが総合発電効率です。総合発電効率は、エネルギーの総供給量に対する発電量の総計の割合を示しています。複合発電システムでは、従来捨てられていた排熱を別の用途に利用することで、エネルギーの有効活用を図り、この総合発電効率を50%から55%程度まで向上させることができます。
発電方式 | 原理 |
---|---|
火力発電 | 石油、石炭、天然ガスなどを燃焼させて水蒸気を発生させ、タービンを回転させて発電 |
水力発電 | ダムに貯めた水の位置エネルギーを利用して水車を回し、発電機を動かして発電 |
原子力発電 | ウラン燃料の核分裂反応の熱エネルギーで水蒸気を発生させ、タービンを回転させて発電 |
熱のカスケード利用
– 熱のカスケード利用
複合発電システムには、発電効率の向上以外にも、大きな利点があります。それは、熱のカスケード利用と呼ばれる技術です。これは、発電に伴って発生する高温の排ガスや蒸気を無駄にせず、暖房や給湯、さらには工場の製造プロセスなどで有効活用しようというものです。
一般的に火力発電所では、燃料を燃焼させて作った蒸気でタービンを回し、発電機を動かして電気を作り出しています。しかし、その過程で発生する熱エネルギーのうち、実際に電力に変換されるのは約半分程度に過ぎません。残りの半分は、排熱として環境中に放出されてしまうのです。
複合発電システムでは、この排熱を回収して、給湯や暖房に利用することができます。例えば、工場やオフィスビルに複合発電システムを設置すれば、発電と同時に給湯や暖房に利用することができ、エネルギー全体の利用効率を大幅に向上させることができます。
熱のカスケード利用は、エネルギー資源の有効活用だけでなく、二酸化炭素の排出削減にも大きく貢献します。地球温暖化が深刻化する中で、複合発電システムは、環境問題解決への有効な手段の一つと言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
技術名 | 熱のカスケード利用 |
概要 | 発電に伴い発生する排熱を、暖房や給湯、工場の製造プロセス等に有効活用する技術 |
メリット | 1. 発電効率の向上 2. エネルギー資源の有効活用 3. 二酸化炭素の排出削減 |
適用例 | 工場やオフィスビルへの複合発電システム設置による、発電と同時給湯・暖房利用 |
省エネルギーへの貢献
エネルギーを効率的に使うことは、私達の暮らしを持続させる上で、そして地球全体の環境を守る上で、非常に重要な課題です。その有効な手段の一つとして、異なるエネルギーを組み合わせる「複合発電システム」が注目されています。
従来の発電方法では、どうしても一部のエネルギーが熱として逃げてしまい、無駄になっていました。しかし複合発電システムでは、電力と熱、両方を無駄なく活用することで、エネルギー全体の利用効率を大幅に向上させています。例えば、発電の際に発生する高温の蒸気は、発電タービンを回した後も、工場や家庭で熱源として再利用できます。このように、エネルギーを段階的に活用することで、従来の方法と比べて燃料の消費量を大幅に削減することが可能になります。
燃料消費量が減れば、当然ながら二酸化炭素の排出量も抑えられます。地球温暖化が深刻化する中、二酸化炭素排出量の削減は、私達人類共通の喫緊の課題です。複合発電システムは、地球温暖化対策としても極めて有効な手段と言えるでしょう。複合発電システムは、エネルギーの有効活用と環境負荷の低減の両面から、持続可能な社会の実現に大きく貢献する技術と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
背景 | エネルギーの効率的な利用は、生活水準の維持と環境保護の観点から重要である。 |
従来の発電の課題 | 発電時に発生する熱エネルギーが無駄になっていた。 |
複合発電システムの特徴 | 電力と熱の両方を活用することで、エネルギー全体の利用効率を大幅に向上させる。 |
複合発電システムの仕組み | 発電で発生する高温の蒸気を、発電タービンを回した後も、工場や家庭で熱源として再利用する。 |
複合発電システムの効果 | – 燃料消費量の大幅な削減 – 二酸化炭素排出量の削減 |
複合発電システムの意義 | エネルギーの有効活用と環境負荷の低減を実現し、持続可能な社会の実現に貢献する。 |