圧電効果:力を電気に変える力
電力を見直したい
『圧電効果』って言葉、原子力発電のところで出てきたんですけど、よくわからないんです…。
電力の研究家
なるほど。『圧電効果』は少し難しい言葉だよね。簡単に言うと、ある物質に力を加えると電気が生まれる現象のことだよ。
電力を見直したい
物質に力を加えると電気が生まれる…?例えば、どんな物質ですか?
電力の研究家
例えば、ライターに使われている『圧電素子』ってものがこの原理を使っているよ。カチッと押すと火花が散るけど、あれは力を加えることで電気が発生して火花が生まれているんだ。
圧電効果とは。
「圧電効果」は、原子力発電にも関係する言葉で、ある種の結晶に力を加えると電気が発生する現象のことです。
詳しく説明すると、特定の種類の結晶に、決まった方向に力を加えると、その力に比例した電気が表面に現れます。プラスとマイナスの電気が、結晶の両面に発生するのです。
この現象を「圧電気」、「ピエゾ電気」、「圧電効果」、または「正圧電効果」と呼びます。
反対に、この種の結晶に電気を流すと、電気に比例した歪みが生じます。これを「逆圧電効果」と呼びます。
1880年、J.キュリーとP.キュリーが電気石で圧電効果を発見しました。
どの結晶に圧電効果があるかは、結晶の形が決める性質によっており、圧電効果を示す結晶は32種類のグループのうち20種類あります。
力を加えた時にどれだけの電気が発生するかは、「圧電率」という数値で表されます。
圧電効果を持つ物質には、ロッシェル塩やチタン酸バリウムなどがあります。
圧電効果と逆圧電効果は、機械の動きと電気信号を互いに変換する仕組みに利用されています。
圧電効果とは
– 圧電効果とは特定の物質に力を加えると電気が発生する現象、それが圧電効果です。1880年、キュリー兄弟によって発見されたこの興味深い現象は、私たちの日常生活に欠かせない様々な機器の中で、その力を発揮しています。圧電効果を応用した身近な例として、ガスコンロの点火装置や電子ライターが挙げられます。ボタンを押すと「カチッ」という音がして火花が散りますが、あの火花は、圧電素子と呼ばれる小さな部品に圧力を加えることで発生した高電圧によるものです。圧電素子は、外部から圧力を受けることで、その内部で電気を帯びた粒子である電子の偏りが生じ、電圧が発生する仕組みになっています。また、音と電気信号を相互に変換するマイクやスピーカーにも、圧電効果が巧みに利用されています。マイクでは、音声によって振動板が振動し、圧電素子に圧力が加わることで電気信号が発生します。逆にスピーカーでは、電気信号によって圧電素子が振動し、その振動が空気を伝わることで音に変換されます。このように、圧電効果は、私たちの生活を支える様々な場面で活躍しています。目に見えない小さな現象が、私たちの暮らしを大きく変えていると言えるでしょう。
現象 | 説明 | 応用例 | 仕組み |
---|---|---|---|
圧電効果 | 特定の物質に力を加えると電気が発生する現象 | – ガスコンロの点火装置 – 電子ライター – マイク – スピーカー |
物質に圧力を加えることで、内部の電子に偏りが生じ、電圧が発生する |
圧電効果の仕組み
– 圧電効果の仕組み
物質に力を加えると電気が発生する現象を圧電効果と呼びます。この不思議な現象は、物質の構造と電荷の関係によって説明されます。
圧電効果を示す物質内部では、普段はプラスとマイナスの電荷がバランス良く分布しており、電気的に中立な状態を保っています。ちょうど、天秤の両端に同じ重さの物体があると、傾かずに水平を保つイメージです。
しかし、外部から力を加えて物質を圧縮したり、引っ張ったりすると、物質内部の構造が歪みます。すると、物質内のプラスとマイナスの電荷のバランスが崩れ、偏りが生じます。これは、天秤の一方にだけ重りを追加するイメージです。
電荷のバランスが崩れると、物質内部に電圧が発生します。これが圧電効果です。発生する電圧は、加えた力の大きさに比例します。
圧電効果は、ライターやガスコンロの点火装置、マイク、スピーカーなど、私たちの身の回りで幅広く利用されています。
現象 | 仕組み | 例 |
---|---|---|
圧電効果 | 物質に力を加えると、内部の電荷バランスが崩れ、電圧が発生する現象。 | ライター、ガスコンロの点火装置、マイク、スピーカー |
圧電材料の種類
– 圧電材料の種類物を押したり引っ張ったりした時に電圧が発生する現象を圧電効果といい、この効果を示す物質を圧電材料と呼びます。圧電材料には様々な種類があり、それぞれ異なる特性を持っているため、用途に応じて使い分けられています。圧電材料として最も古くから知られているのが水晶です。水晶は圧電効果の発見当初から広く利用されており、時間の経過や環境変化による影響を受けにくいという優れた安定性を活かして、正確な時間を刻む水晶発振子や、わずかな圧力変化を検知する圧電センサーなどに使われています。一方、ロッシェル塩は水晶に比べて感度が高いため、かつては圧電効果を利用したマイクロフォンなどに利用されていました。しかし、ロッシェル塩は湿気に弱く、性能が劣化しやすいという欠点があります。そのため、現在では湿度の高い環境で使われることは少なくなっています。近年、最も広く利用されている圧電材料の一つに、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)があります。PZTは人工的に合成された圧電材料であり、水晶に比べて圧電効果が大きく、機械的な強度にも優れていることから、超音波診断装置やアクチュエーターなど、様々な分野で利用されています。このように、圧電材料はそれぞれ異なる特性を持っているため、用途に応じて適切な材料を選ぶことが重要です。
圧電材料の種類 | 特性 | 用途例 |
---|---|---|
水晶 | 安定性が高い 時間の経過や環境変化による影響を受けにくい |
水晶発振子、圧電センサー |
ロッシェル塩 | 水晶よりも感度が高い | かつてはマイクロフォンなどに使用されていたが、現在では湿度の高い環境で使われることは少ない |
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT) | 圧電効果が大きく、機械的な強度にも優れている | 超音波診断装置、アクチュエーター |
圧電効果の応用
– 圧電効果の応用
私たちの身の回りには、ものを押したり、叩いたりすることで電気が発生するという不思議な現象を利用したものが数多く存在します。これが「圧電効果」と呼ばれる現象です。
例えば、台所で使用するガスコンロ。つまみを回すとカチッという音と共に火花が散りますが、これは圧電素子と呼ばれるセラミックに圧力を加えることで高電圧を発生させています。
同様の仕組みは電子ライターにも応用されており、ボタンを押す力を電圧に変換することで、ガスに着火しています。
また、病院でレントゲンの代わりに体内の様子を画像化する超音波診断装置にも圧電効果が役立っています。
電気信号を振動に変えたり、逆に振動を電気信号に変換できるという圧電素子の性質を利用して、体内に超音波を送り込み、その反射をとらえることで臓器の状態を可視化しています。
さらに近年、注目されているのが、私たちの周りのわずかな動きからエネルギーを生み出す「エネルギーハーベスティング」という技術です。
この技術にも圧電効果が応用されており、歩く振動や物のわずかな動きから電気を発生させ、センサーやウェアラブル端末の電源として活用しようという研究開発が進められています。
用途 | 仕組み |
---|---|
ガスコンロ | つまみを回すことで圧電素子に圧力が加わり、高電圧が発生し、火花が散る |
電子ライター | ボタンを押す力を電圧に変換し、ガスに着火 |
超音波診断装置 | 電気信号を振動に変えたり、逆に振動を電気信号に変換する圧電素子の性質を利用し、体内に超音波を送り込み、その反射をとらえることで臓器の状態を可視化 |
エネルギーハーベスティング | 歩く振動や物のわずかな動きから電気を発生させ、センサーやウェアラブル端末の電源として活用 |
未来への展望
– 未来への展望
物質に圧力を加えると電気が発生する圧電効果は、未来を担う重要な技術として期待されています。その理由は、環境への負荷が少なく、エネルギーを効率的に活用できるという点にあります。
特に、あらゆるものがインターネットにつながるIoT社会の到来に向けて、膨大な数のセンサーが情報を収集するセンサーネットワークの構築が急務となっています。このセンサーネットワークにおいて、課題となるのがセンサーへの電力供給です。従来の電池に頼る方法では、交換や廃棄の手間、環境負荷などが懸念されます。
この問題を解決する手段として、圧電効果を利用したエネルギーハーベスティング技術が注目されています。周囲の環境に存在するわずかな振動や圧力、例えば、人の歩行や機械の稼働による振動を電気エネルギーに変換することで、センサーに継続的に電力を供給することが可能となります。
さらに、圧電材料の性能向上も進んでいます。より高い電圧を発生させる、より少ない力で発電する、といった高性能化に加え、製造コストの低減も期待されています。また、従来にない新しい特性を持つ圧電材料の開発も進められており、圧電効果の応用範囲は今後ますます広がっていくと考えられます。
項目 | 内容 |
---|---|
注目技術 | 圧電効果(物質に圧力を加えると電気が発生する現象) |
メリット | – 環境負荷が小さい – エネルギー効率が高い |
期待される用途 | – IoTセンサーネットワークへの電力供給 – (センサーへの継続的な電力供給) |
圧電材料の将来性 | – 高性能化 – 低コスト化 – 新材料開発による応用範囲拡大 |