電力自由化の引き金:公益事業規制政策法

電力自由化の引き金:公益事業規制政策法

電力を見直したい

先生、公益事業規制政策法ってアメリカの法律のことですよね? どうしてアメリカの法律が日本の原子力発電と関係があるんですか?

電力の研究家

いい質問だね!確かに公益事業規制政策法はアメリカの法律だけど、日本の原子力発電にも影響を与えているんだ。この法律によってアメリカでは電力会社以外も発電事業に参入できるようになった。そして、競争が進んで電気料金が下がったんだ。

電力を見直したい

なるほど。それで日本はどうなったんですか?

電力の研究家

アメリカで電気料金が下がったことで、日本の電力会社もコスト削減の必要性に迫られたんだ。そこで目をつけたのが発電コストの低い原子力発電だったんだよ。

公益事業規制政策法とは。

アメリカの電気事業が自由化されたきっかけは、1978年に「公益事業規制政策法」という法律ができたことにあります。この法律は、石油への依存を減らし、省エネを進めるために作られました。具体的には、風力発電など、比較的小規模な発電設備のうち、一定の条件を満たすものを「適格認定設備」と認め、電力会社は、この「適格認定設備」で発電された電気は必ず買い取らなければいけない、と決めました。しかも、買い取り価格は、その電気を買うことで節約できる燃料費などのコストを基準にすることとされました。このため、発電事業を始める企業が急増しました。それと同時に、電力需要が伸び悩んだことも重なり、電力会社は電気が余る状態になりました。そこで、電力会社は、余った電気を卸電力市場で売るようになり、これが卸電力市場の活発化、そして電気事業全体の自由化につながっていったのです。

アメリカのエネルギー事情を変えた法律

アメリカのエネルギー事情を変えた法律

1978年、アメリカは深刻なエネルギー問題に直面していました。世界的な石油不足と価格高騰は、アメリカ経済に大きな打撃を与え、エネルギーの安定供給が国家的な課題となっていました。この危機を克服するために制定されたのが、公益事業規制政策法、通称PURPAです。

PURPAは、従来の電力会社に依存したエネルギー供給体制を見直し、電力会社以外の事業者や個人が発電事業に参入することを促進する画期的な法律でした。 この法律により、太陽光や風力などの再生可能エネルギーや、廃棄物などからエネルギーを回収する技術が大きく進歩しました。

PURPAは、エネルギー源の多様化省エネルギーの推進という二つの大きな目標を掲げていました。石油への依存度を下げるために、電力会社は再生可能エネルギーや天然ガスなど、よりクリーンなエネルギー源を活用することが求められました。また、電力会社は、自社の発電所を新設するよりも、民間企業や個人から電気を買い取ることを奨励されました。

PURPAは、アメリカのエネルギー政策における転換点となり、その後の電力自由化への道を切り開きました。 PURPAの制定から40年以上が経ちましたが、エネルギーの安定供給と環境保護の両立は、依然として重要な課題です。PURPAの成功と教訓は、今日の日本のエネルギー政策にとっても重要な示唆を与えてくれるでしょう。

法律名 制定の背景 主な内容 目的 成果とその後
公益事業規制政策法(PURPA) 1978年、世界的な石油不足と価格高騰によるエネルギー危機 電力会社以外の事業者や個人の発電事業参入促進
電力会社による再生可能エネルギーや天然ガスなどの活用、民間企業や個人からの電力買取奨励
エネルギー源の多様化
省エネルギーの推進
電力自由化への道を開く
エネルギーの安定供給と環境保護の両立という課題を残す

小規模電源への道を開く

小規模電源への道を開く

電力業界において、従来の大規模発電中心の体制から、多様な電源が参入する道筋をつけたのが、1978年にアメリカで制定されたPURPA(公共電力会社規制政策法)です。PURPAの重要なポイントは、風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーを含めた、比較的小規模な発電設備を「適格認定設備(QF)」と認定し、電力会社に対してその電力を一定価格で買い取ることを義務付けた点にあります。

この制度によって、それまで電力会社が独占していた発電市場に、民間企業や個人事業主なども参入できるようになり、多様な電源による電力供給が促進されました。特に、環境負荷の低い再生可能エネルギーの普及促進に大きく貢献した点が評価されています。PURPAはアメリカの法律ですが、その後の世界各国の電力政策にも大きな影響を与え、日本でも再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)などにその考え方が活かされています。

法律名 制定国 制定年 主な内容 目的 影響
PURPA(公共電力会社規制政策法) アメリカ 1978年 – 比較的小規模な発電設備を「適格認定設備(QF)」と認定
– 電力会社に対してQFの電力を一定価格で購入することを義務付け
– 多様な電源による電力供給の促進
– 環境負荷の低い再生可能エネルギーの普及促進
– 民間企業や個人事業主の発電事業参入を促進
– 再生可能エネルギーの普及に貢献
– 世界各国の電力政策に影響(例:日本のFIT)

回避可能原価による買い取り

回避可能原価による買い取り

– 回避可能原価による買い取り電力会社は、これまで電気を供給する責任を単独で負い、発電所を建設・運営してきました。しかし、再生可能エネルギーの普及を図るため、電力会社以外の事業者も発電事業に参入できるようになりました。こうした新規参入事業者を特定電気事業者といい、一般的には「独立発電事業者(IPP)」または「電力事業参入者(PPS)」と呼ばれています。特に再生可能エネルギーによる発電事業者を「特定規模電気事業者(PS)」と呼ぶこともあります。これらの事業者は、自ら発電した電気を電力会社に売却することができます。電力会社は、これらの事業者から電気を購入する際、「回避可能原価」によって買い取ることが法律で義務付けられました。回避可能原価とは、電力会社が自ら発電する場合にかかる費用のうち、新規参入事業者から電気を購入することで削減できる費用のことを指します。具体的には、燃料費や発電所の運転維持費などが含まれます。従来、電力会社は発電から送電までを一貫して行っていましたが、回避可能原価による買い取り制度が導入されたことで、新規参入事業者にとっても電力市場に参入しやすくなりました。これは、電力会社が自社の発電所を建設・運転するよりも、新規参入事業者から電気を購入した方が安価になる可能性を示しているためです。このように、回避可能原価による買い取り制度は、新規参入事業者の参入を促進し、再生可能エネルギーの普及を後押しする効果があります。そして、電力市場全体の競争を促進し、電気料金の低下や供給の安定化にも貢献することが期待されています

項目 内容
従来の電力供給 電力会社が発電から送電までを一貫して担当
新規参入事業者
  • 特定電気事業者:独立発電事業者(IPP)、電力事業参入者(PPS)
  • 特定規模電気事業者(PS):再生可能エネルギーによる発電事業者
回避可能原価による買い取り制度
  • 電力会社は、新規参入事業者から電気を購入する際、「回避可能原価」で買い取ることを法律で義務付けられている
  • 回避可能原価:電力会社が自ら発電する場合にかかる費用のうち、新規参入事業者から電気を購入することで削減できる費用(燃料費、発電所の運転維持費など)
効果
  • 新規参入事業者の参入促進
  • 再生可能エネルギーの普及促進
  • 電力市場全体の競争促進
  • 電気料金の低下
  • 供給の安定化

電力市場の活性化と自由化へ

電力市場の活性化と自由化へ

電力市場の活性化と自由化は、1978年にアメリカで制定された公益事業規制政策法(PURPA)がきっかけとなりました。PURPAは、電力会社が独立系発電事業者(IPP)から電気を買い取ることを義務付けたため、IPPによる発電事業への新規参入を促進しました。
この制度は、電力会社がそれまで独占的に行っていた発電事業に、競争原理を持ち込む画期的なものでした。IPPの参入により、電力会社は、自社の発電所だけでなく、IPPから電気を購入することができるようになり、より安価な電力を調達することが可能となりました。
また、PURPAは、電力会社に余剰電力をIPPに販売することを義務付けたため、卸電力市場が活性化しました。卸電力市場とは、電力会社間やIPP間で電力を売買する市場のことです。この市場の活性化により、電力会社は、必要な時に必要な量だけ電力を調達することができるようになり、より効率的な電力供給が可能となりました。
このように、PURPAによるIPPの参入と卸電力市場の活性化は、電力市場に競争原理を持ち込み、電力供給の効率化を促進しました。そして、これらの動きが、その後の電力事業自由化へとつながる大きな流れを作ったと言えるでしょう。

法律 内容 効果
公益事業規制政策法(PURPA) (1978年、アメリカ)
  • 電力会社は独立系発電事業者(IPP)から電気を買い取ることが義務付けられた。
  • 電力会社は余剰電力をIPPに販売することが義務付けられた。
  • IPPによる発電事業への新規参入促進
  • 電力会社はより安価な電力を調達することが可能になった
  • 卸電力市場が活性化
  • 電力会社は、必要な時に必要な量だけ電力を調達することができるようになり、より効率的な電力供給が可能になった

PURPAが残したもの

PURPAが残したもの

1978年にアメリカで制定されたPURPA法は、エネルギー政策の転換点となり、今日の電力市場の礎を築きました。この法律は、従来の電力会社が独占していた市場に、競争原理を持ち込んだ点で画期的でした。

PURPA法は、電力会社に対して、一定規模以下の発電事業者から電気を買い取ることを義務付けました。この「電力会社による電力買取制度」は、再生可能エネルギーの普及を促進する上で大きな役割を果たしました。なぜなら、太陽光発電や風力発電などの新興エネルギーは、従来の発電方法と比べてコスト面で不利でしたが、電力会社が一定価格で買い取る制度ができたことで、新規参入が容易になったからです。

さらに、PURPA法は、電力会社が発電と送電の両方を独占することを禁じ、送電網への公平なアクセスを保障しました。これにより、独立系発電事業者(IPP)が誕生し、電力市場に競争が生まれました。その結果、電力価格の低下やサービスの向上など、消費者にとってのメリットも生まれました。

PURPA法は、単なるエネルギー政策の転換にとどまらず、電力市場の構造そのものを変革させる力を持つ画期的な法律でした。それは、再生可能エネルギーの普及促進、競争的な電力市場の形成、そして消費者の選択肢拡大といった、今日のエネルギー業界の重要な要素を生み出すきっかけとなったと言えるでしょう。

項目 内容
法律名 PURPA法
制定年 1978年
制定国 アメリカ
目的 電力市場への競争原理導入、再生可能エネルギーの普及促進
主な内容
  • 電力会社による一定規模以下の発電事業者からの電力買取義務化
  • 電力会社による発電と送電の独占禁止
  • 送電網への公平なアクセス保障
結果
  • 独立系発電事業者(IPP)の誕生
  • 電力市場における競争促進
  • 電力価格の低下
  • サービスの向上
  • 消費者選択肢の拡大