RIT:体内からがんを攻撃する治療法
電力を見直したい
先生、「RIT」ってどういう意味ですか?原子力発電のところで出てきたんですが…
電力の研究家
「RIT」は「放射線免疫療法」の略で、がん治療に使われる技術だよ。原子力発電とは直接の関係はないんだ。
電力を見直したい
え、そうなんですか? どうして原子力発電のところで出てきたんだろう…
電力の研究家
もしかしたら、放射性物質が医療にも使われているんだよ、という文脈で出てきたのかもしれないね。原子力発電と医療では、放射性物質の使い方は全く違うんだよ。
RITとは。
『RIT』とは、放射線を出す物質をつけた薬を使って、体の中からがんを治療する方法です。
まず、がん細胞にくっつく薬に、放射線を出す物質をつけます。
次に、この薬を患者さんに使います。
すると、薬はがん細胞にくっつき、そこから放射線を出してがん細胞を攻撃します。
アメリカでは、この方法でリンパ腫というがんを治療することに成功しています。
つまり、RITは、放射線を出す物質とがん細胞にくっつく薬を組み合わせることで、体の中からがんを治療する新しい方法です。
RITとは
– RITとはRITは、放射性免疫療法(RadioImmunoTherapy)の略称です。これは、放射線を出す物質(放射性核種)を、特定のがん細胞を狙い撃ちするミサイルのような役割をする抗体にくっつけて体内に入れることで、がん細胞だけをピンポイントで攻撃する治療法です。抗体とは、私たちの体の中で作られるタンパク質の一種で、特定の異物と結合する性質を持っています。鍵と鍵穴の関係のように、決まった形の抗体と異物だけがぴったりとくっつくことができます。がん細胞の表面には、正常な細胞にはない、特定の種類のタンパク質(抗原)が多く存在することが知られています。RITでは、このがん細胞特有の抗原を認識して結合する抗体を利用します。あらかじめ、この抗体に放射線を出す物質(放射性核種)をくっつけて体内に入れると、抗体はがん細胞だけを探し出して結合します。そして、がん細胞にくっついた抗体から放射線が放出され、がん細胞のDNAに損傷を与えて死滅させることができます。RITは、正常な細胞への影響を抑えながら、がん細胞のみを効果的に攻撃できるという点で、従来の放射線治療よりも副作用が少ないと考えられています。また、手術が難しい場所にできたがんや、転移したがんにも効果が期待できる治療法として注目されています。
項目 | 内容 |
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RITとは | 放射性免疫療法(RadioImmunoTherapy)の略称 |
仕組み | 1. がん細胞特有の抗原を認識して結合する抗体を利用 2. 抗体に放射線を出す物質(放射性核種)をくっつけて体内に入れる 3. 抗体はがん細胞だけを探し出して結合 4. がん細胞にくっついた抗体から放射線が放出 5. がん細胞のDNAに損傷を与えて死滅 |
効果 | – 正常な細胞への影響を抑えながら、がん細胞のみを効果的に攻撃できる – 手術が難しい場所にできたがんや、転移したがんにも効果が期待できる |
従来の放射線治療との違い | 副作用が少ないと考えられている |
RITの仕組み
– RITの仕組みRIT(放射性同位元素内用療法)は、放射線を出す物質を体内に注入し、がん細胞を内部から破壊する治療法です。治療の効果を高め、副作用を抑えるために、薬剤は正常な細胞には結合しにくく、がん細胞に多く存在する特定の物質と結びつきやすい性質を持つように設計されています。治療は、まず患者さんの体内に、がん細胞にくっつきやすい性質を持つ抗体を注射することから始まります。この抗体には、あらかじめ放射線を出す物質である放射性同位元素が結びつけられています。注射された抗体は、血液の流れに乗って体中をめぐり、がん細胞を探し出します。そして、抗体は、まるで鍵と鍵穴のように、がん細胞の表面にある特定の物質と結合します。抗体ががん細胞に結合すると、そこから放射線が放出されます。放射線は、がん細胞の設計図とも言えるDNAに損傷を与え、がん細胞が増えるのを防いだり、細胞そのものを死なせたりします。放射線の届く範囲はごくわずかであるため、周囲の正常な細胞への影響は最小限に抑えられ、がん細胞だけを狙い撃ちできます。このように、RITは、がん細胞をピンポイントで攻撃できるため、効果が高く、副作用の少ないがん治療法として期待されています。
治療法 | RIT(放射性同位元素内用療法) |
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目的 | がん細胞を内部から破壊する |
メカニズム |
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効果 |
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RITの利点
– RITの利点RITは、従来の放射線療法と比べて、周囲の正常な細胞への影響を少なく抑えながら、がん細胞だけを狙い撃ちできるという大きな利点があります。従来の放射線治療では、がん細胞だけでなく、周囲の正常な細胞にも放射線が当たってしまい、副作用の原因となっていました。しかしRITでは、がん細胞だけに特異的に結合する抗体を利用します。この抗体にくっついた放射性物質から放射線が出るため、がん細胞にピンポイントで放射線を当てることが可能になるのです。RITは、手術が難しい場合や、化学療法が効きにくいがんに対しても有効な場合があり、治療の選択肢を広げると期待されています。さらに、通院治療で済むケースもあるため、患者の負担軽減にもつながる可能性があります。しかし、RITはすべてのがんに有効なわけではなく、治療効果には個人差があります。また、副作用が全くないわけではなく、放射性物質を使用することによるリスクも考慮する必要があります。治療を受ける際には、医師とよく相談することが大切です。
項目 | 内容 |
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RITの利点 | がん細胞だけにピンポイントで放射線を当てることができるため、周囲の正常な細胞への影響が少ない。 |
従来の放射線治療との違い | 従来の放射線治療では、周囲の正常な細胞にも放射線が当たってしまい、副作用の原因となっていた。RITでは、がん細胞だけに特異的に結合する抗体を利用するため、周囲の正常な細胞への影響を軽減できる。 |
有効なケース | 手術が難しい場合や、化学療法が効きにくいがんに対しても有効な場合がある。 |
治療の負担 | 通院治療で済むケースもあるため、患者の負担軽減につながる可能性がある。 |
注意点 |
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RITの適用
– RITの適用
RIT(放射性同位元素内用療法)は、放射線を出す物質を体内に投与してがん細胞を攻撃する治療法です。
RITは、現在、悪性リンパ腫を中心とした血液がんの治療に用いられています。特に、アメリカではヨウ素131で標識した特定のタンパク質にくっつく薬を用いた悪性リンパ腫の治療で効果を上げています。
日本では、悪性リンパ腫だけでなく、消化器がん、前立腺がん、神経内分泌腫瘍などに対してもRITを用いた臨床試験や治療が行われており、今後、様々な種類のがんへのRITの適用拡大が期待されています。
項目 | 内容 |
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治療法 | 放射性同位元素内用療法 (RIT) |
概要 | 放射線を出す物質を体内へ投与し、がん細胞を攻撃する治療法 |
適用疾患 | – 悪性リンパ腫 (血液がん) – 消化器がん – 前立腺がん – 神経内分泌腫瘍 など |
現状と展望 | – アメリカではヨウ素131を用いた悪性リンパ腫治療で効果を上げている。 – 日本では様々な種類のがんへの適用拡大が期待されている。 |
RITの将来
放射線を用いてがん細胞をピンポイントで攻撃する治療法であるRITは、がん治療において大きな期待を集めています。がん細胞だけに放射線を照射することで、正常な細胞への影響を抑えつつ、効果的にがん細胞を破壊することができます。
RITは、がん細胞への高い集積性と、放射線の強い細胞殺傷能力という2つの特徴を併せ持つことで、効率的な治療を実現します。
現在、さらに効果的で安全性の高いRITを目指し、様々な研究開発が進められています。
その一つが、がん細胞に対する親和性が高い、新たな抗体の開発です。抗体は、特定の分子を認識して結合するタンパク質であり、RITにおいては抗体をミサイルのように用い、がん細胞だけに放射性物質を届けます。より標的とするがん細胞に強く結合する抗体を開発することで、正常な細胞への影響を最小限に抑えつつ、がん細胞のみを効果的に攻撃できるようになると期待されています。
また、放射性核種の改良も重要な研究開発課題です。放射性核種とは、放射線を出す能力を持つ原子です。がん細胞を破壊するのに適した種類や量の放射線を出す核種を選択することで、治療効果を高めることができます。さらに、体内での動きを制御することで、副作用を軽減できる可能性も秘めています。
これらの研究開発の成果によって、RITはより多くの患者さんにとって希望となる治療法として、がん治療の未来を大きく変えていくことが期待されます。
RITの要素 | 内容 | 期待される効果 |
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がん細胞への集積性 | がん細胞に対する親和性が高い、新たな抗体の開発 | 正常な細胞への影響を最小限に抑えつつ、がん細胞のみを効果的に攻撃できる |
放射線の細胞殺傷能力 | 放射性核種の改良 | 治療効果を高める、副作用を軽減できる可能性 |