国際社会の課題に挑むISSCの役割

国際社会の課題に挑むISSCの役割

ISSCとは

– ISSCとはISSCは、「国際社会科学会議」を短く表した呼び名で、正式名称は「International Social Science Council」と言います。この組織は、フランスの首都パリにあるユネスコの本部を拠点とする、営利を目的としない学術団体です。1952年10月に設立され、社会科学という分野をさらに発展させ、そこで得られた知見を現代社会の重要な課題解決に役立てることを目指して活動しています。具体的には、ISSCは人の行動や社会の仕組みを探究する社会科学分野の研究者や組織と協力関係を築いています。そして、国境を越えた共同研究を推進することで、人間社会へのより深い理解を深めるための活動を積極的に行っています。ISSCは、社会科学の力を結集し、より良い未来の構築に貢献することを目指していると言えるでしょう。

ISSCの設立と歴史

国際社会科学評議会（ISSC）は、世界の社会科学の発展と協力を促進することを目的として、1952年10月に設立されました。この設立は、1951年に行われた第6回ユネスコ全体会合での決議に基づくものであり、ユネスコの理念を継承する組織として誕生しました。設立当初は暫定的な組織でしたが、その後の1972年には、11の国際的な専門機関から構成される正式な連合組織へと発展しました。これは、社会科学が専門分化していく中で、より広範な分野を網羅し、組織的な連携を強化する必要性が高まったためです。さらに、1992年には規約が改正され、国や地域の組織も参加できるようになりました。この改正により、ISSCはより多くの機関や研究者を巻き込み、真にグローバルな社会科学のネットワークを築くための基盤を確立しました。これらの変遷を経て、ISSCは社会科学分野における国際的な連携の中心的な役割を担う組織として、世界規模でその活動を展開しています。

ISSCの目的と活動内容

ISSCは、国際社会科学評議会という名称で知られており、社会科学の知見を世界規模の問題解決に役立てることを目指す国際的な組織です。社会科学には、経済学、政治学、社会学、心理学など、人間や社会の仕組みを探求する多様な分野が含まれます。ISSCは、これらの異なる分野の研究者をつなぎ、協力体制を築くことで、複雑化する現代社会の課題解決に貢献しようと活動しています。

ISSCの活動は多岐に渡ります。世界中の研究者が集まり、共通の課題について議論を深める国際会議やワークショップを開催したり、共同で研究プロジェクトを推進したりしています。また、社会科学の研究成果を一般の人々に分かりやすく伝え、社会に還元するための出版活動や広報活動にも力を入れています。

特にISSCは、地球温暖化や環境破壊、貧困や格差の拡大など、地球全体の持続可能性を脅かす喫緊の課題に焦点を当てています。これらの課題は、自然科学の知識だけでは解決できません。人間の行動や社会構造、国際関係など、社会科学的な視点を取り入れることで、より効果的な解決策を見出すことができるとISSCは考えています。

地球環境変化への取り組み

近年、地球規模で環境問題が深刻化しており、私たち人類共通の課題として、その対策が求められています。地球環境の変化は、私たちの社会や経済にも大きな影響を与えるため、その対策には自然科学だけでなく、社会科学の視点も重要です。

国際社会科学評議会（ISSC）は、1990年から「地球環境変化の人間社会側面に関する国際研究計画（IHDP）」を推進し、国際的な共同研究を主導してきました。この計画では、地球温暖化や気候変動、生物多様性の減少といった地球環境の変化が、私たちの社会にどのような影響を与えるのか、また、私たちの行動が環境にどのような影響を与えるのかを、社会科学の視点から研究しています。

具体的には、世界中の研究者が協力し、地球環境の変化が食料生産や水資源、人間の健康に与える影響などを分析し、その結果を踏まえて、より持続可能な社会を実現するための政策提言などを行っています。ISSCの活動は、地球環境問題の解決に向けて、国際社会を一つにまとめる重要な役割を担っていると言えるでしょう。

貧困問題への取り組み

世界には、日々の暮らしに困窮し、十分な食事や住居、教育や医療などの基本的なサービスを受けられない人々が数多く存在します。このような貧困問題は、個人の尊厳を脅かすだけでなく、社会全体の不安定化や経済発展の阻害要因にもなりかねません。 国際社会科学評議会 (ISSC) は、この深刻な問題に取り組むため、「貧困比較研究計画 (CROP)」を立ち上げました。

この計画は、従来の経済的な指標だけに頼るのではなく、社会科学の様々な分野の知見を結集することで、貧困問題のより深い理解を目指しています。 具体的には、社会学、人類学、政治学、心理学などの専門家が、世界各地の貧困の実態を調査し、その原因や影響、そして効果的な対策について分析を行います。

特に、CROPでは国際的な共同研究に力を入れています。これは、貧困問題が国や地域によって異なる側面を持つ一方、共通する構造的な要因も存在するためです。世界中の研究者が協力し、データを共有し、議論を重ねることで、貧困の根本的な原因を解明し、より効果的な政策提言を行うことを目指しています。 ISSCは、CROPを通じて得られた研究成果を広く発信することで、国際社会全体で貧困問題解決に向けた取り組みを推進していくことを目指しています。