知っておきたい内部被ばく:見えない脅威から体を守る
電力を見直したい
『内部被ばく』って、放射性物質が体の中に入ってくることでしょ? どうやって入ってくるの?
電力の研究家
よく知ってるね! 放射性物質が体内に入る経路は、主に3つあるよ。呼吸をする時、食べ物や飲み物を口にする時、そして皮膚から吸収される時だよ。
電力を見直したい
えー、皮膚からも!? 体に入った後はどうなるの?
電力の研究家
体内に入った放射性物質は、全身に広がる場合もあれば、特定の場所に集まる場合もあるんだ。例えば、ヨウ素は喉にある甲状腺に集まりやすいよ。いずれにしても、時間をかけて体の外に出ていくから安心だね。
内部被ばくとは。
「内部被ばく」は、原子力発電で使われる言葉の一つで、放射線を出す物質が体の中に入って起こる被ばくのことを指します。体内被ばくとも呼ばれます。放射線を出す物質が体内に入る道筋は、主に三つあります。呼吸によって体内に入ってくる場合、口を通して食べ物などと一緒に体内に入ってくる場合、そして皮膚を通して体内に入ってくる場合です。体内に入った放射線を出す物質は、全身に均等に広がる場合もあれば、特定の臓器や組織に集まる場合もあります。例えば、ヨウ素は甲状腺、ストロンチウムは骨に集まりやすい性質を持っています。セシウムは、骨に数%、筋肉に80%、そして肝臓など、その他の臓器に蓄積されます。体内に取り込まれた放射線を出す物質は、時間の経過とともに、代謝や排泄によって体外に排出されます。被ばくの程度は、放射線を出す物質が体内で半分になるまでの時間(有効半減期)に左右されます。有効半減期は、放射線を出す物質そのものの壊変と、生物学的プロセス両方の影響を受けます。
内部被ばくとは?
– 内部被ばくとは?私たちの身の回りには、ごく微量の放射性物質が存在し、呼吸や飲食を通して知らず知らずのうちに体内に取り込まれています。これを「内部被ばく」と呼びます。 放射性物質を含む空気を吸い込んだり、汚染された水や食べ物を口にすることで、体内へと放射性物質が入り込んでしまうのです。体内に入った放射性物質は、種類によって留まりやすい場所が異なります。例えば、ヨウ素は喉の下にある甲状腺に集まりやすく、ストロンチウムは骨に蓄積する性質を持っています。 セシウムの場合は、体の動きを司る筋肉に約8割、骨に数%、そして残りは肝臓などに蓄積します。内部被ばくは、外部被ばくのように体の外側から放射線を浴びる場合と異なり、放射線源が常に体内に存在するため、長期間にわたって被ばくし続ける可能性があります。 また、目に見えないだけに、どれだけの放射性物質を体内に取り込んだのかを把握することが難しく、その影響を理解し、適切な対策を講じることが非常に重要です。日頃からバランスの取れた食生活を心がけ、汚染が懸念される食品の摂取を控えるなど、内部被ばくのリスクを減らすための意識を持つことが大切です。
項目 | 説明 |
---|---|
内部被ばくとは | 呼吸や飲食を通して、放射性物質を体内に取り込むこと。 |
経路 | – 放射性物質を含む空気の吸入 – 汚染された水や食物の摂取 |
放射性物質の体内蓄積 | – ヨウ素:甲状腺 – ストロンチウム:骨 – セシウム:筋肉(約8割)、骨(数%)、肝臓など |
内部被ばくの特徴 | – 放射線源が体内に長期間留まり、被ばくが継続する可能性 – 体内への取り込み量を把握することが困難 |
対策 | – バランスの取れた食生活 – 汚染が懸念される食品の摂取抑制 |
放射性物質の侵入経路
私たちが暮らす環境には、目には見えないけれど、ごくわずかな放射性物質が存在しています。 これらの放射性物質は、主に三つの経路で私たちの体の中に入ってくることがあります。
まず一つ目は、呼吸によるものです。空気中には、放射性物質を含む非常に小さな塵やガスが漂っていることがあります。私たちは呼吸をする際に、これらの塵やガスを体内に吸い込んでしまうことがあります。
二つ目は、食べ物や飲み物から摂取する場合です。放射性物質は、水や土壌の中に存在することがあります。そして、それらの水や土壌で育った作物や、そこで飼育された家畜の肉や牛乳などにも、ごくわずかながら放射性物質が含まれていることがあります。
そして三つ目は、皮膚を通しての場合です。健康な皮膚は、外部からの物質の侵入を防ぐ役割を担っていますが、万が一、皮膚に傷口がある場合は、そこから放射性物質が体内に入ってしまう可能性があります。
このように、放射性物質は、私たちが気づかないうちに体内に侵入する可能性があります。それぞれの経路と状況を正しく理解し、適切な予防対策を心がけることが大切です。
経路 | 内容 |
---|---|
呼吸 | 空気中の放射性物質を含む塵やガスを吸い込む。 |
食べ物や飲み物 | 水や土壌の放射性物質を、食物連鎖を通じて摂取する。 |
皮膚 | 皮膚に傷口がある場合、そこから放射性物質が侵入する可能性がある。 |
体への影響範囲
私たちの体に放射性物質が入ると、血液によって全身に運ばれる過程で、その振る舞いは物質の種類によって大きく異なります。例えば、体の中に入った放射性物質が、水に溶けやすい性質を持つ場合を考えてみましょう。このような物質は、体内の水分と混ざり合いながら、血液によって全身に均等に行き渡ります。一方、水に溶けにくい性質を持つ放射性物質は、特定の臓器や組織に集まりやすいという特徴があります。
骨に蓄積されやすい性質を持つ放射性物質の代表例として、ストロンチウムが挙げられます。ストロンチウムはカルシウムと化学的性質が似ているため、骨を作る細胞に取り込まれやすく、長期間にわたって骨の中に留まり続ける可能性があります。その結果、骨髄で作られる血液細胞が、ストロンチウムから放出される放射線の影響を継続的に受けることになり、白血病などの血液がんのリスクが高まる可能性が懸念されています。
また、ヨウ素は甲状腺に集まりやすい性質を持つ放射性物質として知られています。ヨウ素は甲状腺ホルモンの重要な構成成分であるため、甲状腺は血液中のヨウ素を積極的に取り込みます。そのため、放射性ヨウ素が体内に取り込まれると、甲状腺に集中的に蓄積し、甲状腺細胞が強い放射線の影響を受けることになります。その結果、甲状腺がんのリスクが高まる可能性が懸念されています。このように、体内に取り込まれた放射性物質の影響は、その種類や量、被ばく時間などによって大きく異なります。さらに、放射性物質が蓄積する臓器や組織によっても影響は異なるため、注意が必要です。
放射性物質の種類 | 体内動態 | 蓄積部位 | 健康への影響 |
---|---|---|---|
水溶性物質 | 血液に溶け、全身に均等に分布 | – | 全身への影響 |
ストロンチウム | 骨に蓄積しやすい | 骨 | 骨髄への影響、白血病リスク増加 |
ヨウ素 | 甲状腺に集まりやすい | 甲状腺 | 甲状腺への影響、甲状腺がんリスク増加 |
有効半減期と体外への排出
私たちが呼吸や飲食を通して体内に取り込んだ放射性物質は、時間の経過とともに放射線を出しながら別の原子に変化していきます。これを放射性崩壊と呼びます。放射性物質は崩壊によってその量が減っていきますが、同時に、私たちの体の中を循環し、尿や便、汗などとして体外へ排出されていきます。
体内に取り込まれた放射性物質の量が半分になるまでの時間を「物理学的半減期」といいますが、体外への排出も考慮して量が半分になるまでの時間を「有効半減期」と呼びます。 有効半減期は、物理学的半減期と体外への排出率の両方に影響を受けます。
同じ放射性物質であっても、年齢や健康状態などによって、人それぞれ代謝の速度が異なり、体外への排出速度も違ってきます。そのため、有効半減期は、放射性物質の種類だけでなく、個人によっても異なる値を示します。
この有効半減期を理解することは、体内に取り込まれた放射性物質から受ける影響を評価し、適切な医療措置を講じる上で非常に重要となります。
用語 | 説明 |
---|---|
放射性崩壊 | 放射性物質が放射線を出しながら別の原子に変化していく現象。 |
物理学的半減期 | 放射性物質の量が半分になるまでの時間。 |
有効半減期 | 体外への排出も考慮して、体内の放射性物質の量が半分になるまでの時間。 |
内部被ばくから身を守るには
私たちが暮らす環境には、目には見えない放射線が微量ながら存在しています。ほとんどの場合、健康に影響を与えることはありませんが、放射性物質が体内に取り込まれることで健康被害が生じる場合があります。これが内部被ばくと呼ばれるものです。
内部被ばくから身を守るためには、まず放射性物質を体内に入れないようにすることが重要です。そのためには、放射性物質を発生源とする施設にむやみに近づかない、事故などが発生した際には、関係機関からの情報に注意し、指示があれば速やかに避難するなどの対応が必要です。
食品や水を通じて放射性物質を体内に取り込んでしまうケースもあります。産地や製造日を確認するなど、食品の安全情報に注意を払い、不安な場合は摂取を控えるようにしましょう。また、放射性物質を含む塵や埃を吸い込まないように、外出時にはマスクを着用するなど、状況に応じた予防策を講じることが大切です。
万が一、放射性物質を体内に取り込んでしまった場合でも、すぐに影響が出るわけではありません。落ち着いて医師の指示に従い、適切な処置を受けるようにしてください。
内部被ばくは、目に見えない脅威だからこそ、正しい知識を持ち、日頃から予防を心がけることが大切です。
内部被ばくの原因 | 予防策 |
---|---|
放射性物質を発生源とする施設 | ・むやみに近づかない ・事故発生時は情報に注意し、指示に従う |
食品や水 | ・産地や製造日を確認する ・安全情報に注意し、不安な場合は摂取を控える |
放射性物質を含む塵や埃 | ・外出時にマスクを着用する |