医療と放射線:医療被ばくについて
電力を見直したい
先生、「医療被ばく」って、具体的にどんなときに受けるんですか?
電力の研究家
そうだね。「医療被ばく」は病院でレントゲン写真やCT検査を受けるときに受ける放射線のことだよ。 他には、がんの治療で放射線を使う場合もあるね。
電力を見直したい
そうなんですね。 健康のために検査を受けるのに、放射線を浴びるのは少し怖いです…
電力の研究家
もちろん気持ちはわかるよ。でも、医療被ばくは、検査や治療の効果と比べて、十分に低い量に抑えられているんだ。医師や放射線技師は、被ばくを最小限にするために、細心の注意を払ってくれているんだよ。
医療被ばくとは。
病院でレントゲンを撮ったり、放射線を使った治療を受けたりするときに、私たちは放射線を浴びます。これを医療被ばくといいます。どれくらい放射線を浴びるかは、検査の種類によって違います。例えば、胸のレントゲン検査を1回受けると約0.05ミリシーベルト、胃のレントゲン検査を1回受けると約0.6ミリシーベルトの放射線を浴びます。医療被ばくには、レントゲンなど体の外から放射線を浴びる場合と、放射性物質を使った薬を体に入れる治療などで、体内から放射線を浴びる場合があります。どれだけの放射線を浴びるかは人によって違うため、正確に把握することは難しいですが、私たちが自然と浴びている放射線に次いで多く、人工的な放射線の中では最も多いとされています。なお、法律では、放射線による健康への影響を防ぐために、人が浴びる放射線の量を計算していますが、医療被ばくによる放射線の量は、この計算には含まれません。
医療における放射線の利用
医療の現場では、放射線は診断や治療など、様々な用途で利用されています。レントゲン撮影は、骨の状態を把握するために用いられる、私たちにとって最も身近な放射線利用の一つと言えるでしょう。レントゲン撮影では、X線と呼ばれる放射線が身体を透過する際に、骨などの組織によって吸収率が異なることを利用して画像化を行います。
近年では、X線を用いた検査として、コンピューター断層撮影、いわゆるCT検査も広く普及しています。CT検査では、身体の周囲を回転する装置からX線を照射し、得られたデータをコンピューターで処理することで、身体の断面画像を詳細に得ることができます。これにより、臓器や血管などの状態をより正確に把握することが可能となり、病気の早期発見や診断の精度向上に大きく貢献しています。
放射線は、診断だけでなく、がん治療などの治療においても重要な役割を担っています。放射線治療では、がん細胞に放射線を照射することで、細胞のDNAを損傷し、増殖を抑制したり、死滅させたりします。放射線治療は、手術、抗がん剤治療と並ぶ、がん治療の三大療法の一つとして確立されており、多くの患者に福音をもたらしています。このように、放射線は医療において欠かせない技術として、人々の健康と生命を守るために役立てられています。
用途 | 手法 | 説明 |
---|---|---|
診断 | レントゲン撮影 | X線を利用して、骨の状態を把握する。 |
CT検査 | X線を照射し、コンピューターで処理することで、身体の断面画像を得る。臓器や血管の状態をより正確に把握することが可能。 | |
治療 | 放射線治療 | がん細胞に放射線を照射し、細胞のDNAを損傷、増殖を抑制または死滅させる。 |
医療被ばくとは
– 医療被ばくとは医療被ばくとは、病気の診断や治療のために、レントゲン撮影や放射線治療など、放射線を利用した医療行為を受けた際に、患者さんが受ける放射線の被ばくのことを指します。医療被ばくには、主に二つ種類があります。一つは、レントゲン撮影やCT検査のように、体の外から放射線を照射する「体外被ばく」です。もう一つは、がんの治療や甲状腺機能検査のように、放射性物質を含む薬を体内に入れる「体内被ばく」です。体外被ばくでは、検査の種類や撮影部位によって被ばく量が異なります。一般的に、胸部レントゲン撮影など、一回の検査で受ける線量はごくわずかです。しかし、CT検査など、複数回の撮影を行う検査では、被ばく量が比較的大きくなる傾向があります。一方、体内被ばくでは、検査や治療に用いる放射性物質の種類や量によって、被ばく量が大きく異なります。体内被ばくの場合、放射性物質は体内に留まり、一定の期間放射線を出し続けます。しかし、ほとんどの場合、時間の経過とともに体外に排出され、被ばくの影響は徐々に少なくなっていきます。医療被ばくは、適切な診断や治療を行う上で、時に避けることができない場合もあります。医療従事者は、被ばくによる利益とリスクを十分に考慮し、可能な限り被ばく量を少なくするための対策を講じています。患者さんも、医療被ばくについて正しく理解し、疑問点があれば担当の医師や放射線技師に相談することが大切です。
医療被ばくの種類 | 説明 | 被ばく量 |
---|---|---|
体外被ばく | レントゲン撮影やCT検査のように、体の外から放射線を照射する。 | 検査の種類や撮影部位によって異なる。胸部レントゲン撮影など、一回の検査で受ける線量はごくわずかだが、CT検査など、複数回の撮影を行う検査では、被ばく量が比較的大きくなる傾向がある。 |
体内被ばく | がんの治療や甲状腺機能検査のように、放射性物質を含む薬を体内に入れる。 | 検査や治療に用いる放射性物質の種類や量によって大きく異なる。放射性物質は体内に留まり、一定の期間放射線を出し続けるが、ほとんどの場合、時間の経過とともに体外に排出され、被ばくの影響は徐々に少なくなっていく。 |
医療被ばくの線量
私たちは、医療機関でレントゲン検査やCT検査を受ける際に、ごく微量の放射線である医療被ばくを受けています。この医療被ばくは、検査の種類や方法によってその量が異なります。
例えば、胸のレントゲン検査を1回受けると、約0.05ミリシーベルトの被ばくがあります。これは、自然放射線を1年間に浴びる量の約20分の1に相当します。また、胃のレントゲン検査では、1回の検査で約0.6ミリシーベルトの被ばくとなり、胸のレントゲン検査よりも多くの被ばくを受けることになります。
このように、医療被ばくは検査の種類だけでなく、一人ひとりの体質や検査の内容によっても被ばく量が異なってきます。そのため、実際にどれだけの被ばくがあったのかを正確に評価することは容易ではありません。しかし、近年では医療技術の進歩により、医療被ばくを低減するための様々な取り組みが行われています。
医療被ばくは、一人ひとりの被ばく量は少ないものの、国民全体で見るとその影響は決して小さくありません。実際、医療被ばくによる国民全体の線量(集団線量)は、自然放射線に次いで大きく、人工放射線の中では最大となっています。
検査の種類 | 被ばく量の目安 |
---|---|
胸部レントゲン検査 | 約0.05ミリシーベルト(自然放射線を1年間に浴びる量の約20分の1) |
胃のレントゲン検査 | 約0.6ミリシーベルト |
医療被ばくのリスクとベネフィット
医療において、レントゲン撮影やCT検査など、放射線を用いた診断や治療は欠かせないものとなっています。これらの医療行為によって私たちは多大な恩恵を受けていますが、同時に被ばくによる健康への影響も懸念されます。
医療被ばくによる主なリスクとしては、被ばくした量によっては、将来的にがんを発症するリスクが高まる可能性が挙げられます。
しかし、医療被ばくによるリスクは決して無視できるものではありませんが、そのリスクは適切に管理されています。医療現場では、被ばく量の低減を常に心がけており、必要最低限の線量で検査や治療が行われるよう、最新の機器や技術が導入されています。
また、医療被ばくによるリスクは、検査や治療によって得られる利益と比較して、十分に低いと考えられています。例えば、がんなどの重大な疾患を早期に発見し、適切な治療を開始することで、予後が大きく改善されることがあります。
医療被ばくは、そのリスクとベネフィットを比較し、患者さんにとって最善の選択をすることが重要です。疑問があれば、医師や放射線技師に相談し、納得した上で検査や治療を受けるようにしましょう。
医療被ばくに関する法規制
日本では、医療において放射線を用いる場合、患者さんや医療従事者を放射線の悪影響から守るために、「放射線障害防止法」という法律に基づいた様々な対策が取られています。
医療における放射線の使用は、診断や治療など、患者さんの健康を守る上で欠かせないものです。しかし、放射線は使い方を誤ると人体に harmful な影響を与える可能性があるため、その利用には厳格なルールが定められています。
「放射線障害防止法」では、医療機関に対して、医療機器の定期的な点検や修理、放射線量の適切な管理、患者さんへの放射線被ばくに関する十分な説明などを義務付けています。
また、医療従事者に対しても、放射線による被ばくを最小限に抑えるための知識や技術の習得が求められています。具体的には、防護具の着用や、患者さんとの距離を保つ、作業時間を短縮するなどの対策を徹底することで、被ばくリスクを低減しています。
このように、医療現場では、患者さんや医療従事者の安全を最優先に考え、法律に基づいた対策を講じることで、放射線の恩恵を安全に受けることができる体制が整えられています。
法律 | 対象 | 対策 |
---|---|---|
放射線障害防止法 | 医療機関 | – 医療機器の定期的な点検や修理 – 放射線量の適切な管理 – 患者への放射線被ばくに関する十分な説明 |
放射線障害防止法 | 医療従事者 | – 放射線による被ばくを最小限に抑えるための知識や技術の習得 – 防護具の着用 – 患者との距離を保つ – 作業時間を短縮する |
まとめ
医療において放射線は病気の診断や治療に欠かせないツールとなっています。レントゲン撮影やCT検査など、放射線を利用した医療行為は広く行われていますが、これらによって私たちが浴びる放射線のことを医療被ばくと言います。
医療被ばくには、体の外から放射線を浴びる体外被ばくと、放射性物質を含む薬剤などを体内に取り込む体内被ばくの二つがあります。レントゲン撮影やCT検査は体外被ばく、がんの治療などで用いられる放射線治療や甲状腺機能検査などは体内被ばくに分類されます。
医療被ばくによる線量は検査や治療の内容によって大きく異なります。例えば、胸部レントゲン写真では一度の撮影で約0.02ミリシーベルト程度の被ばくがありますが、CT検査では検査部位や方法によって数ミリシーベルトから数十ミリシーベルトの被ばくがあります。
医療被ばくは国民全体の線量への影響が大きい一方で、適切な検査や治療を受けることで病気の早期発見や治療効果の向上など、多くの利益をもたらします。医療現場では医療被ばくによる影響を最小限に抑えるために、放射線の線量を必要最低限にする、防護具を適切に使用する、最新の機器を導入するなどの努力が続けられています。
医療被ばくの種類 | 説明 | 例 | 線量 |
---|---|---|---|
体外被ばく | 体の外から放射線を浴びる | レントゲン撮影、CT検査 | 胸部レントゲン: 約0.02ミリシーベルト CT検査: 数ミリシーベルトから数十ミリシーベルト |
体内被ばく | 放射性物質を含む薬剤などを体内に取り込む | がんの放射線治療、甲状腺機能検査 | 検査や治療の内容によって大きく異なる |