放射線と乾癬

放射線と乾癬

乾癬とは

– 乾癬とは乾癬は、皮膚が赤くなって盛り上がり、やがて白い粉のようなものが剥がれ落ちる病気です。この白い粉は、皮膚の一番外側にある表皮が異常に厚くなって剥がれ落ちることで生じます。見た目が乾燥しているように見えることから乾癬と呼ばれますが、実際には乾燥が原因ではありません。乾癬になると、かゆみなどの症状を伴うこともありますが、これは病気の原因となる物質が体の免疫の働きに影響を与えることで起こると考えられています。そして、この免疫の異常な反応が、皮膚の細胞の生まれ変わりを早めてしまい、結果として皮膚が厚く赤くなってしまうのです。乾癬は、症状や発症の仕方にいくつかの種類があります。しかし、どの種類の乾癬でも共通しているのは、皮膚の炎症と、皮膚の角質が異常に増える「過剰な角質化」がみられることです。乾癬は、適切な治療を行うことで症状を抑え、健康な状態を保つことができます。

乾癬の原因

乾癬は、皮膚に赤い斑点やかゆみ、フケのような皮膚の剥がれが繰り返し現れる、慢性の皮膚の病気です。原因はまだすべてが明らかになっているわけではありませんが、体の免疫の働きが深く関わっていると考えられています。

通常、免疫は体に侵入してきた細菌やウイルスなどを攻撃し、体を守るという大切な役割を担っています。しかし乾癬の場合は、この免疫システムが何らかの原因で自分の皮膚を異物だと誤って認識し、攻撃してしまうことで炎症を起こすと考えられています。その結果、皮膚の細胞が過剰に作られ、赤みやかゆみ、フケのような皮膚の剥がれといった症状が現れるのです。

また、乾癬は遺伝的な要因も関係していると考えられています。両親や祖父母など、家族に乾癬の人がいる場合、そうでない人に比べて乾癬を発症するリスクが高くなることが知られています。

さらに、ストレスや気候の変化、感染症、特定の薬の使用などが乾癬の症状を悪化させるきっかけになることもあります。これらの要因によって免疫のバランスが乱れ、症状が現れたり、悪化したりすると考えられています。

放射線による乾癬

放射線治療は、がん細胞を死滅させる効果的な治療法ですが、周囲の健康な組織にも影響を与える可能性があります。皮膚は、放射線治療中に被ばくの影響を受けやすい部位の一つです。放射線は、細胞内の遺伝物質であるデオキシリボ核酸を傷つけ、細胞の成長と分裂を阻害することで、がん細胞を破壊します。しかし、この作用は正常な細胞にも及び、皮膚細胞もダメージを受けることがあります。

放射線治療による皮膚への影響は、治療開始後すぐに現れる場合と、数年後に現れる場合があります。治療開始後数日から数週間以内に現れる早期の副作用としては、日焼けに似た皮膚の赤みや炎症などがあります。これらの症状は、急性放射線皮膚炎と呼ばれ、通常は治療終了後数週間以内に治まります。

一方、治療後数ヶ月から数年を経て現れる晩期の副作用には、皮膚の菲薄化や色素沈着の変化、血管の拡張などがあります。これらの変化は、放射線が皮膚の細胞や組織に長期的なダメージを与えることで生じます。

乾癬は、放射線治療の晩期副作用の一つとして発症することがあります。乾癬は、皮膚細胞の異常な増殖によって引き起こされる慢性的な皮膚疾患です。放射線は、皮膚の基底層と呼ばれる最も下の層に存在する幹細胞に損傷を与える可能性があります。基底層は、新しい皮膚細胞を生み出す役割を担っていますが、放射線によってこの層が損傷を受けると、皮膚の再生がうまくいかなくなり、乾癬の発症につながると考えられています。放射線治療による乾癬は、治療後３週間から６週間後に発症することが多く、赤く盛り上がった発疹やかゆみなどの症状を伴います。

乾癬の治療

乾癬の治療は、皮膚の状態や症状の程度、患者の年齢や健康状態などを総合的に判断して行われます。症状が軽く、範囲も狭い場合は、ステロイドが含まれた塗り薬や、皮膚に潤いを与える保湿剤などを使った治療を中心に行います。ステロイドの塗り薬は、皮膚の炎症を抑え、赤みや腫れ、かゆみなどの症状を和らげる効果があります。保湿剤は、乾燥して硬くなった皮膚に潤いを与え、皮膚のバリア機能を回復させる効果が期待できます。
症状が重い場合や、塗り薬だけでは効果が不十分な場合には、紫外線を使った光線療法や、体の免疫の働きを抑える薬を内服する治療法などが選択されることもあります。乾癬は、長期間にわたって症状が続く場合もあるため、医師の指示に従って、根気強く治療を続けることが大切です。また、症状が悪化する原因となるストレスや疲労、飲酒、喫煙などは、なるべく避けるように心がけましょう。