レム:過去に使われていた放射線の影響を表す単位
電力を見直したい
先生、「レム」って昔の放射線の単位で今は使われていないんですよね? なんで使われなくなったんですか?
電力の研究家
そうだね。「レム」は昔使われていた単位で、今は「シーベルト」が使われている。理由はいくつかあるけど、まず「レム」はX線を基準にしていたため、放射線の種類によって計算が複雑になってしまう問題があったんだ。
電力を見直したい
複雑ということは、分かりにくいってことですか?
電力の研究家
その通り!そこで、もっと分かりやすく、国際的に統一された単位として「シーベルト」が使われるようになったんだよ。
レムとは。
「レム」は、かつて使われていた放射線が生物に与える影響を測る単位です。放射線は種類や強さによって人体への影響が異なるため、同じ量の放射線を浴びても、その影響度は一様ではありません。そこで、X線を基準として、他の種類の放射線が人体に与える影響度を数値化したものが「生物学的効果比」と呼ばれるものです。
例えば、同じ量の放射線を浴びた場合、α線はX線の20倍の影響があるとされています。つまり、X線を1ラド浴びた時の影響を1レムとすると、α線を1ラド浴びた時の影響は20レムとなります。
その後、放射線防護の分野では、生物学的効果比に代わって「線質係数」が使われるようになり、さらに「放射線荷重係数」と名前が変わりました。また、放射線の吸収量を表す単位も、ラドからグレイに変更され、放射線荷重係数を考慮した新しい影響度の単位として、シーベルトが定められました。1シーベルトは100レムに相当します。
レムとは
– レムとはレム(rem)は、過去に放射線が生物に及ぼす影響を評価するために用いられていた単位です。放射線は、その種類によって生物への影響が異なります。同じエネルギー量であっても、アルファ線はガンマ線よりも人体へ与える影響が大きいことが知られています。これは、放射線の種類によって、物質との相互作用の仕方が異なるためです。 そこで、放射線が人体に与える影響度合いを、種類別に補正して評価するために、レムという単位が導入されました。
レムは、X線やガンマ線を基準とした相対的な値で表されます。具体的には、X線やガンマ線1ラドの吸収線量が人体に与える影響を1レムと定義し、他の種類の放射線については、その生物学的効果比(RBE)を考慮してレムの値が決められていました。例えば、アルファ線のRBEは20であるため、1ラドのアルファ線は20レムとなります。
しかし、現在では、レムはシーベルト(Sv)という単位に置き換えられています。1シーベルトは100レムに相当します。 シーベルトは、レムと同様に放射線の種類による生物学的効果の違いを考慮した線量当量であり、より国際的に統一された単位として用いられています。
単位 | 説明 | 備考 |
---|---|---|
レム(rem) | 過去に放射線が生物に及ぼす影響を評価するために用いられていた単位。放射線の種類によって異なる生物への影響度合いを補正して評価するために導入された。 | 現在はシーベルト(Sv)に置き換えられている。 |
シーベルト(Sv) | レムと同様に放射線の種類による生物学的効果の違いを考慮した線量当量。 | 1シーベルト = 100レム 国際的に統一された単位として用いられている。 |
レムの計算方法
– レムの計算方法レム(rem)は、人体が放射線を浴びた際に受ける生物学的影響の程度を示す単位です。吸収線量と呼ばれる、放射線によって物質が吸収したエネルギー量に、生物学的効果比(RBE)をかけることで計算されます。まず、吸収線量について説明します。吸収線量は、放射線によって物質1キログラムあたりに吸収されたエネルギー量を表し、単位はラド(rad)を用います。 1ラドは、1キログラムの物質が0.01ジュールのエネルギーを吸収したことを示します。次に、生物学的効果比(RBE)について説明します。 RBEは、同じ吸収線量であっても、放射線の種類によって生物学的影響が異なることを示す係数です。 基準となる放射線はX線で、そのRBEは1と定められています。例えば、α線のRBEは20とされています。これは、α線を1ラド吸収した場合、X線を1ラド吸収した場合と比べて、生物学的影響が20倍大きいことを意味します。レムは、吸収線量(ラド)にRBEをかけることで計算されます。例えば、α線を1ラド浴びた場合は、レムは1ラド × 20 = 20レムとなります。このように、レムは吸収線量とRBEを考慮することで、異なる種類の放射線に対しても、人体への影響を統一的に評価することを可能にしています。
用語 | 説明 |
---|---|
レム (rem) | 人体が放射線を浴びた際に受ける生物学的影響の程度を示す単位。 吸収線量に生物学的効果比(RBE)をかけることで計算される。 |
吸収線量 (rad) | 放射線によって物質1キログラムあたりに吸収されたエネルギー量。 1 rad = 1 キログラムの物質が 0.01 ジュールのエネルギーを吸収。 |
生物学的効果比 (RBE) | 同じ吸収線量であっても、放射線の種類によって生物学的影響が異なることを示す係数。 基準はX線で、RBEは1。α線はRBEが20。 |
レムからシーベルトへ
– レムからシーベルトへ放射線防護の分野では、長らくレムという単位が放射線の影響を評価するために使われてきました。しかし、時代の流れとともに、より正確で国際的に統一された基準が必要とされるようになりました。その流れの中で、まず放射線の生物学的効果を示す指標として、従来のRBEに代わり線質係数QFが導入されました。その後、1990年には国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告により、QFは放射線荷重係数WRへと改称されました。これは、放射線の種類やエネルギーの違いによる人体への影響度の違いをより正確に反映するためです。さらに、吸収線量の単位も、従来のラドから国際単位系(SI)のグレイ(Gy)へと変更されました。1Gyは1ジュール/kgのエネルギー吸収量に相当し、より明確で分かりやすい単位となっています。そして、これらの変更に伴い、グレイにWRをかけた等価線量として、シーベルト(Sv)という新しい単位が導入されました。シーベルトは、人体への影響を考慮した線量を表す単位であり、1Svは100レムと定義されています。これらの変更により、放射線防護の分野では国際的な基準に統一され、より正確で分かりやすい評価が可能となりました。
項目 | 従来の単位 | 新しい単位 | 備考 |
---|---|---|---|
生物学的効果比 | RBE | QF (Quality Factor) 後にWR (Radiation Weighting Factor)に改称 |
放射線の種類やエネルギーによる人体への影響度の違いを反映 |
吸収線量 | ラド | グレイ(Gy) | 1 Gy = 1 ジュール/kg |
等価線量 | レム | シーベルト(Sv) | 1 Sv = 100 レム シーベルト = グレイ × WR |
現代における放射線量の表現
かつて、放射線の影響を測る単位にはレムというものが使われていました。しかし、現在では国際的な基準に合わせて、シーベルトという単位が一般的に用いられています。これは、より正確に放射線から人々を守るための考え方によるものです。
シーベルトは、放射線の種類やエネルギーの違いによって体に与える影響が異なることを、より適切に評価できる単位です。例えば、同じ量の放射線でも、アルファ線はガンマ線に比べて人体への影響が大きいため、シーベルトを使うことでその違いを明確にできます。このように、シーベルトは放射線が健康に与える影響を評価する上で、非常に重要な役割を果たしているのです。
旧単位 | 新単位 | 備考 |
---|---|---|
レム | シーベルト | 国際基準に合わせた単位。放射線の種類やエネルギーの違いによる影響をより適切に評価できる。 |