
β放射体:原子核の不思議な力
- β放射体とは物質を構成する最小単位である原子は、中心にある原子核と、その周りを回る電子からできています。さらに原子核は陽子と中性子から構成されていますが、この陽子と中性子の数のバランスによっては、原子核が不安定な状態になることがあります。不安定な状態の原子核は、より安定な状態になろうとして、自らエネルギーを放出する性質を持っています。その際に放出されるものの一つがβ線と呼ばれるもので、このβ線を出す能力を持つ物質のことをβ放射体と呼びます。β線は、電気を帯びた非常に小さな粒子で、電子の仲間のようなものです。β放射体の中では、原子核の中で中性子が陽子へと変化し、その際にβ線を放出します。この現象をβ崩壊と呼びます。β放射体は、自然界にも存在します。例えば、カリウムという物質の中に含まれるカリウム40という物質は、自然界に存在するβ放射体の代表的なものです。 また、原子力発電所などで人工的に作り出されるものもあります。β放射体から放出されるβ線は、紙一枚で止まってしまうほど透過力が弱いですが、人体に当たると細胞に影響を与える可能性があります。そのため、β放射体を扱う際には、適切な遮蔽や取り扱い方法を守ることが重要です。