ウラン

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アクチノイド:原子力の舞台裏を支える元素群

- アクチノイドとは何かアクチノイドは、化学の世界で周期表と呼ばれる元素の並び順の中で、89番目の元素であるアクチニウムから103番目の元素であるローレンシウムまでの15個の元素を指す言葉です。これらの元素は全て、原子の中心にある原子核が不安定で、自然と放射線を出しながら他の元素へと変化していくという、放射性元素としての特徴を持っています。アクチノイド元素のうち、自然界に存在するのはトリウム、プロトアクチニウム、ウランの3種類だけです。これらの元素は、地球が誕生した時から存在していましたが、長い年月をかけて放射線を出しながら崩壊していくため、現在ではごく微量しか存在しません。特にウランは、原子力発電の燃料として利用される重要な元素です。ウランは核分裂と呼ばれる反応を起こし、莫大なエネルギーを放出します。このエネルギーを利用して発電するのが原子力発電です。アクチノイド元素は、原子番号が大きくなるにつれて、その原子核はより不安定になります。そのため、人工的に作り出すことが非常に難しい元素も存在します。これらの元素は、原子核が崩壊するまでの時間が非常に短く、一瞬だけ存在してすぐに他の元素に変わってしまうため、その性質を調べることさえ容易ではありません。しかし、このような元素の研究は、物質の起源や宇宙の進化を解明する上で重要な鍵を握っていると考えられています。
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原子力発電の燃料:二酸化ウラン

- 二酸化ウランとは二酸化ウランは、ウランと酸素が結びついてできた化合物で、化学式はUO₂ と表されます。ウランの酸化物の中で最も安定しており、天然のウラン鉱石にも含まれています。二酸化ウランは、原子力発電の燃料として最も一般的に使用されている物質です。ウランには、核分裂を起こしやすいウラン235と、そうでないウラン238が存在しますが、天然ウランに含まれるウラン235の割合は約0.7%と非常に低いため、原子炉で核分裂反応を効率的に起こすためには、ウラン235の割合を高める必要があります。このウラン235の割合を高める操作を「濃縮」といい、濃縮したウラン235を用いて二酸化ウランを製造します。製造された二酸化ウランは、粉末状に加工され、高温で焼き固められて小さなペレット状に成形されます。このペレットを燃料集合体と呼ばれる構造物に封入し、原子炉の燃料として使用します。二酸化ウランは、熱伝導率が高く、高温や放射線に強いという特性を持っているため、原子炉の過酷な環境下でも安定して使用することができます。また、化学的に安定しているため、長期保管にも適しています。しかし、二酸化ウランは放射性物質であるため、取り扱いには厳重な管理体制が必要となります。