
ウラン濃縮のカギ、カスケード方式とは?
- カスケード方式の概要カスケード方式とは、その名の通り、まるで階段状の滝のように、複数の分離装置を多段に接続し、全体として一つの大きな装置のように運用する方式です。この方式は、少量ずつ濃縮度を高めていくという原理に基づいており、最終的に高い濃縮効果を得ることができます。ウラン濃縮を例に挙げると、天然ウランの中には、核分裂を起こしやすいウラン235がごくわずかしか含まれていません。そこで、原子力発電に利用するためには、ウラン235の割合を高める、すなわちウランを濃縮する必要があります。しかし、ウラン235とウラン238は化学的性質が非常に似ているため、一度の分離作業で高純度のウラン235を得ることは困難です。そこで、カスケード方式が有効となります。単一の分離装置ではわずかな濃縮度しか得られませんが、複数の分離装置を多段に接続し、前の段階で濃縮されたウランを次の段階の装置に入力していくことで、最終的には実用的なレベルまでウラン235の濃度を高めることができるのです。このように、カスケード方式は、少量ずつ段階的に濃縮を進めることで、高い濃縮効果を得られるという利点を持つため、ウラン濃縮をはじめ、様々な分野で利用されています。