エネルギーの未来を支える遠心分離法
- 遠心分離法とは遠心分離法とは、回転する容器の中で物質にかかる遠心力の違いを利用して、物質を分離する方法です。私たちの身近な例では、洗濯機で脱水するときにこの力が働いています。洗濯槽が高速回転することで、水と衣類にかかる遠心力の大きさに差が生じ、軽い水は外側に、重い衣類は内側に残ることで、水と衣類を分離することができます。この遠心分離法は、原子力発電の分野でも重要な役割を担っています。原子力発電の燃料となるウランには、核分裂を起こしやすいウラン235と、そうでないウラン238の2種類が存在します。天然に存在するウランは、ほとんどがウラン238で、ウラン235はわずかしか含まれていません。そこで、原子力発電で利用するためには、ウラン235の濃度を高める必要があります。この濃縮作業に、遠心分離法が用いられているのです。遠心分離機と呼ばれる装置の中で、ウラン化合物を封入した容器を高速回転させます。すると、質量のわずかに軽いウラン235と、わずかに重いウラン238では、かかる遠心力の大きさに違いが生じます。この差を利用して、ウラン235とウラン238を分離していくのです。遠心分離法は、高い効率でウランを濃縮できるため、現在最も広く利用されているウラン濃縮技術となっています。