原子核の壁:クーロン障壁とは
物質を構成する最小単位である原子は、中心にある原子核と、その周りを回る電子から成り立っています。さらに原子核は、プラスの電気を帯びた陽子と、電気を帯びていない中性子から構成されています。 原子核は陽子を含むため、全体としてプラスの電気を帯びています。では、原子核に外部から別のプラスの電気を帯びた粒子、例えば陽子を近づけるとどうなるでしょうか? 静電気の世界では、同じ種類の電気を持つもの同士は反発しあうという性質があります。 つまり、プラスの電気を帯びた原子核と陽子は、近づけようとすると反発し合う力、すなわち電気的反発力が働きます。しかも、近づけば近づくほどこの力は強くなります。まるで原子核の周りに、電気的反発が生み出す見えない壁があるかのようです。この見えない壁こそがクーロン障壁と呼ばれるものです。クーロン障壁は、原子核同士の融合反応など、様々な原子核反応において重要な役割を果たします。