ゲルマニウム半導体検出器

放射線について

放射線計測の精鋭:Ge(Li)検出器

物質には、電気を通しやすい導体、ほとんど通さない絶縁体、そしてその中間の性質を持つ半導体があります。半導体は、導体と絶縁体の両方の性質を併せ持ち、条件によって電気を通したり通さなかったりする、電気伝導度を変化させるという興味深い特徴を持っています。この半導体の性質を利用して、目に見えない放射線を検出するのが半導体検出器です。 半導体検出器は、半導体内部に電気を運ぶキャリア(電子や正孔)が存在しない領域を作ります。この領域は空乏層と呼ばれ、高い抵抗値を持つため、普段は電流がほとんど流れません。ここに放射線が入射すると、物質との相互作用によって電荷を持ったキャリアが発生します。この電荷が空乏層で電流を発生させることで、放射線の存在を捉えることができます。 さらに、発生する電流の大きさは、入射した放射線のエネルギーに比例するため、電流を測定することで放射線のエネルギーを知ることができます。また、放射線の種類によって物質との相互作用の仕方が異なるため、電流が発生するまでの時間や電流の変化の様子から放射線の種類を特定することも可能です。このように、半導体検出器は、放射線の種類やエネルギーを精密に測定できるため、医療分野、環境放射線の測定、原子力産業など、様々な分野で活用されています。
放射線について

放射線を見分ける目:ゲルマニウム半導体検出器

- ゲルマニウム半導体検出器とは?ゲルマニウム半導体検出器は、物質の種類を見分ける目を持つ特殊な装置であり、放射線源の種類を特定するために用いられます。物質はそれぞれ固有の指紋のようなエネルギーを持っており、ゲルマニウム半導体検出器はこのエネルギーの違いを検出することで、放射線を出している物質の種類を特定することが可能です。検出器の心臓部には、ゲルマニウムという物質が使われています。ゲルマニウムは、電気を通しやすい金属と電気を通しにくい絶縁体の中間の性質を持つ半導体と呼ばれる物質の一種です。ゲルマニウムは純粋な状態では電気をほとんど通しません。しかし、ゲルマニウムに微量の不純物を混ぜることで、電気伝導性が変化する性質を持っています。ゲルマニウム半導体検出器はこの性質を利用し、ゲルマニウムに特殊な処理を施すことで作られています。検出器に放射線が当たると、ゲルマニウム内部で電子と正孔と呼ばれるものが発生し、電流が流れます。この電流は放射線のエネルギーに比例するため、電流の大きさから放射線のエネルギーを知ることができ、物質の特定が可能になります。ゲルマニウム半導体検出器は、高いエネルギー分解能を持つことが特徴です。これは、放射線のわずかなエネルギーの違いを識別できることを意味し、より正確な物質の特定を可能にします。そのため、原子力発電所における放射線管理や環境放射線の測定、医療分野など、様々な分野で利用されています。