コンクリート侵食

原子力の安全

原子炉の安全とコーキング反応

原子力発電所においては、炉心冷却の喪失などにより、燃料が過度に高温となり溶融する炉心溶融事故が想定されています。 この事故は、原子炉の安全性を脅かす重大な事態の一つとして認識されています。 炉心溶融が発生すると、溶融した燃料は原子炉圧力容器を構成する鋼鉄さえも溶かしながら落下し、最終的には原子炉格納容器の底部に到達します。格納容器の底部は、高い強度と耐熱性を有するコンクリートで構築されていますが、溶融した炉心とコンクリートが接触すると、溶融炉心コンクリート相互作用(MCI)と呼ばれる複雑な現象が生じます。 MCIは、溶融した炉心とコンクリートとの間で激しい化学反応や熱伝達を引き起こし、水素ガスが発生する可能性や、格納容器の健全性を損なう可能性も懸念されています。 このため、MCIの進展を抑制し、格納容器の閉じ込め機能を維持することは、炉心溶融事故の被害を最小限に抑える上で極めて重要です。 原子力発電所の安全性確保のため、MCIに関する研究開発が進められており、溶融炉心の冷却やコンクリート組成の改良など、様々な対策が検討されています。