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放射線について

原子力の基礎:γ線の秘密に迫る

私たちの身の回りには、目には見えないけれど、様々な波長の電磁波が存在しています。電波や光も電磁波の一種ですが、原子核から放出される非常に波長の短い電磁波は、「ガンマ線」と呼ばれています。 原子核は、物質を構成する原子の中心にあり、陽子と中性子でできています。この陽子や中性子のエネルギー状態は、常に一定ではなく変化することがあります。そして、エネルギーの高い状態から低い状態に変化する際に、そのエネルギー差が電磁波として放出されます。これがガンマ線が発生する仕組みです。 ガンマ線の波長は、10のマイナス12乗メートルから10のマイナス14乗メートルと非常に短く、これは原子の大きさよりもさらに小さいスケールです。そして、ガンマ線は波長が短い分、エネルギーは0.1メガ電子ボルトから100メガ電子ボルト程度と非常に高くなります。これは、病院でレントゲン撮影に使われるエックス線と比べて、数百倍から数万倍も大きなエネルギーです。そのため、ガンマ線は物質を透過する力が強く、医療分野ではがんの治療や診断、工業分野では材料の検査など、様々な分野で利用されています。
放射線について

原子と放射線の相互作用:励起

物質に放射線を照射すると、物質を構成する原子と様々な相互作用を起こします。その中でも、物質へのエネルギー付与という観点で重要な現象の一つに「励起」があります。 原子は、中心にある原子核とその周りを回る電子から構成されています。電子は、原子核の周りを回る際、特定のエネルギー準位にしか存在できません。この状態をエネルギー準位と呼び、最もエネルギーの低い状態を基底状態と呼びます。 放射線が原子に当たると、そのエネルギーの一部が電子に伝達されることがあります。エネルギーを得た電子は、基底状態よりも高いエネルギー準位へと移動します。この現象を励起と呼びます。 励起状態の電子は不安定であり、再びエネルギーを放出して基底状態へと戻ります。この際に放出されるエネルギーは、光として観測されることもあります。 このように、放射線による電子の励起は、物質と放射線の相互作用を理解する上で重要な現象です。特に、励起状態から基底状態に戻る際に放出される光は、物質の分析や医療分野など、様々な応用が期待されています。