スパークチェンバー

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目に見える宇宙線: スパークチェンバーの仕組み

スパークチェンバーとは、1960年代まで宇宙線や原子核実験の研究において重要な役割を担っていた装置です。 この装置は、目に見えない宇宙線を、まるで花火のように光らせることで、その飛跡を視覚化するという画期的なものでした。 スパークチェンバーの構造は、薄い金属板を平行に並べ、その間隔を一定に保ったものです。 そして、金属板に高電圧をかけ、内部にヘリウムやアルゴンなどの気体を封入します。 宇宙線がチェンバー内を通過すると、気体の分子と衝突し、電離を引き起こします。 この電離によって生じた電子は、高電圧によって加速され、さらに多くの気体分子と衝突します。 その結果、電子の雪崩現象が発生し、金属板間で火花放電が起こります。 この火花放電は、宇宙線が通過した軌跡に沿って発生するため、その飛跡を目に見える形で観測することができます。 スパークチェンバーは、宇宙線のエネルギーや運動量などを測定するために用いられ、当時の研究者たちに新たな発見をもたらしました。 しかし、その後、より高精度な観測が可能な装置が登場したため、現在では、スパークチェンバーは第一線からは退いています。 それでも、その視覚的な美しさから、科学館などで展示されることがあります。