スペクトロメータ

放射線について

中性子をとらえるLi-6サンドイッチ計数管

- 中性子検出の重要性原子力発電所をはじめ、医療現場や工業分野など、様々な場面で中性子を検出することは非常に重要です。中性子は電気的に中性であるため、物質を構成する原子核と直接衝突するまで物質内部を容易に通り抜けてしまいます。 この性質は、物質の非破壊検査などに活用される一方で、検出を難しくしている要因でもあります。 中性子は、物質を透過する際に物質の種類によって異なる減り方をします。この性質を利用することで、物質内部の状態を詳しく調べることができます。例えば、空港の手荷物検査装置では、爆発物の原料となる物質を中性子を利用して検出しています。原子力発電においては、原子炉内の核分裂反応を監視・制御するために中性子の検出が欠かせません。 原子炉の出力調整や安全性の確保に直接関わるため、高精度かつリアルタイムでの検出が求められます。中性子は目に見えず、他の粒子のように電荷を持たないため、検出するためには工夫が必要です。そこで、中性子と特定の原子核が反応した際に発生する信号を利用する検出器が開発されてきました。例えば、ヘリウム3やホウ素10などの原子核は中性子を吸収しやすく、その際に荷電粒子を放出します。この荷電粒子を電気信号に変換することで、間接的に中性子を検出することが可能になります。このように、中性子検出技術は様々な分野で重要な役割を担っており、今後も更なる技術開発が期待されています。
その他

見えない世界を覗く:スペクトロメータ

- スペクトロメータとはスペクトロメータは、物質に光や粒子などを照射した際に生じる、透過や反射、放射といった相互作用を利用して、物質の組成や性質を分析する装置です。 私たちの目に見える光は、実は様々な色の光が混ざり合ったものです。太陽光をプリズムに通すと、虹色に光が分かれて見える現象を目にしたことがあるでしょう。これは、光が持つ固有の波長によって屈折率が異なるために起こります。スペクトロメータはこの原理を応用し、光を波長ごとに分けることで、物質に含まれる成分やその量を調べることができます。 スペクトロメータは、光だけでなく、電子やイオン、中性子など、様々なエネルギーを持つ粒子や波を分析することができます。分析対象に応じて、分光器、質量分析器、エネルギー分析器など、様々な種類のスペクトロメータが存在します。 原子力分野においても、スペクトロメータは重要な役割を担っています。例えば、原子炉内の中性子のエネルギー分布を測定することで、炉心の状態を監視したり、放射性物質から放出されるガンマ線のエネルギーを測定することで、核種の同定や放射能の測定を行うことができます。このように、スペクトロメータは、原子力の安全利用や研究に欠かせない分析装置と言えるでしょう。