
未来への安全確保:セラミック固化技術
原子力発電は、二酸化炭素排出量の少ないエネルギー源として期待されていますが、その一方で、放射性廃棄物の処理という大きな課題を抱えています。特に、使用済み核燃料から取り出される高レベル放射性廃棄物は、強い放射能を持ち、数万年もの間危険性を維持するため、その処理は極めて重要です。
この高レベル放射性廃棄物の処理方法として、現在、世界的に最も有望視されているのが、ガラスと同様の性質を持つセラミックに閉じ込める「セラミック固化技術」です。
この技術では、まず、高レベル放射性廃棄物を乾燥させ、ガラス原料などとともに高温で溶かし込みます。そして、それを冷却して固化させることで、放射性物質をセラミックの中に閉じ込めてしまいます。
セラミックは、ガラスよりも化学的に安定しており、耐熱性や耐水性にも優れているため、長期間にわたって安全に放射性物質を閉じ込めておくことができます。
セラミック固化技術は、まだ開発段階ではありますが、将来的な実用化に向けて、世界各国で研究開発が進められています。日本でも、この技術を用いた高レベル放射性廃棄物の地層処分が計画されており、その実現が期待されています。