チェルノブイリ事故

放射線について

急性放射線症:被爆直後に現れる危険

原子力発電は、私たちの暮らしに欠かせない電気を供給する上で、重要な役割を担っています。しかし、原子力発電には、目に見えない放射線が漏れ出す危険性が潜んでいることを忘れてはなりません。放射線が体に当たると、目に見える怪我や痛みはなくても、体の内側からじわじわと健康を蝕む可能性があります。 放射線によって引き起こされる健康被害の中でも、特に注意が必要なのが急性放射線症です。これは、一度に大量の放射線を浴びることで、体の細胞が破壊され、様々な症状が現れる病気です。症状は、放射線の量や浴び方によって異なりますが、吐き気や嘔吐、下痢、発熱といった風邪に似た症状から、皮膚の redness 、脱毛、出血傾向など、深刻なものまで多岐に渡ります。 急性放射線症は、適切な治療を行わなければ、命に関わる危険性も孕んでいます。そのため、原子力発電所では、事故を防ぐための対策を徹底するとともに、万が一、事故が発生した場合に備え、周辺住民の避難計画や医療体制の整備など、様々な対策を講じています。原子力発電の恩恵を享受する一方で、私たち一人ひとりが、放射線被ばくのリスクや安全対策について正しく理解しておくことが重要です。
原子力施設

原子力発電の要:原子炉格納容器の役割とは

原子力発電所の中心で熱とエネルギーを生み出す原子炉。その原子炉を包み込むようにしてそびえ立つ巨大な構造物、それが原子炉格納容器です。原子炉格納容器は、原子力発電所の安全性を確保する上で、最後の砦となる重要な役割を担っています。 原子炉格納容器は、万が一、原子炉で事故が発生した場合に備え、放射性物質が外部に漏れ出すのを防ぐための堅牢なバリアとして機能します。厚さ1メートルを超える強靭な鋼鉄製の壁と、その内側に張り巡らされた気密性の高いライニング材によって、放射性物質の拡散を徹底的に抑制します。 原子炉格納容器は、その頑丈な構造に加えて、事故発生時の圧力や温度の上昇にも耐えられるように設計されています。仮に原子炉内で蒸気爆発などが起こったとしても、格納容器は内圧や衝撃に耐え、放射性物質の放出を防ぎます。さらに、格納容器内は常に負圧に保たれており、万が一、微量の放射性物質が漏洩した場合でも、外部への拡散を防ぐ仕組みになっています。 原子炉格納容器は、まさに原子力発電所の安全を守る最後の砦といえるでしょう。