パスキル・ギフォード法

原子力の安全

原子力発電の安全と大気安定度

- 大気安定度とは原子力発電所は、運転中にごくわずかな放射性物質を環境中に放出することがあります。もちろん、これらの放出は厳しく管理され、安全なレベルに保たれています。この安全レベルを維持するために、原子力発電所では大気安定度と呼ばれる指標を用いて、放射性物質の大気中における拡散状況を予測しています。では、大気安定度とは一体どのようなものでしょうか? それは、大気がどれくらい上下方向に混ざりやすいかを示す指標です。例えば、風が強く吹いていて大気が不安定な日は、煙突から排出された煙が空高く拡散していく様子を見かけることがあるでしょう。このように、大気が不安定な状態では、放射性物質も拡散しやすいため、地表付近の濃度は低くなります。一方、風が弱く大気が安定している日は、煙が空に昇らずに横に広がったり、下に溜まったりする様子が見られます。このような安定した状態の大気では、放射性物質は拡散しにくく、地表付近に滞留する可能性が高くなります。原子力発電所では、この大気安定度を常に監視し、放射性物質の拡散状況を予測することで、安全な運転を維持しています。