宇宙を探る目: フォスイッチ型中性子検出器
私たちが目にする物質は、原子という小さな粒からできています。原子は中心にある原子核とその周りを回る電子からなり、さらに原子核は陽子と中性子というさらに小さな粒子で構成されています。陽子はプラスの電荷、電子はマイナスの電荷を持つため、電気的な力で互いに影響し合っています。しかし、中性子は電荷を持ちません。そのため、電気的な力を利用する通常の検出器では捉えることができません。 電荷を持たない中性子をどのように検出するのでしょうか? その答えは、中性子が持つエネルギーにあります。
中性子は物質の中を進む時、他の原子と衝突することがあります。この衝突によって、中性子は自身のエネルギーを相手に渡し、自身は減速したり、方向を変えたりします。ビリヤードの球をイメージすると分かりやすいでしょう。動く球が静止している球にぶつかると、動いていた球はエネルギーを失い、静止していた球は動き出します。
中性子検出では、この衝突によって生じる現象を利用します。中性子が原子に衝突すると、原子から陽子が飛び出すことがあります。この陽子はプラスの電荷を持っているので、検出器で捉えることができます。つまり、直接見ることのできない中性子を、陽子という別の粒子を通して間接的に観測するのです。この検出方法を用いることで、原子力発電をはじめ、様々な分野で中性子の振る舞いを調べることが可能になります。