地球温暖化係数、二酸化炭素の数千倍!PFCとは?
近年、スマートフォンやパソコンなど、私たちの生活に欠かせない電子機器の進化は目覚ましいものです。これらの高性能な電子機器の心臓部には、超微細な回路が形成された半導体が搭載されています。そして、この微細な回路を作り出すためには、フッ素を含む特殊なガス「パーフルオロカーボン(PFC)」が不可欠です。
PFCは、1980年代から半導体製造の現場で活用されてきました。半導体製造プロセスでは、シリコンウェハーと呼ばれる薄い板状の材料に、様々な工程を経て回路を形成していきます。PFCは、その中で特に重要な役割を担う「エッチング」と「化学気相蒸着(CVD)」と呼ばれる工程で使用されます。
エッチング工程では、ウェハー上に塗布されたレジストと呼ばれる保護膜の特定部分を露出し、そこにガスを吹き付けて不要な部分を溶かしながら、回路パターンを刻みます。PFCは、他の物質とは反応しにくく、目的の物質のみを正確に除去できるため、エッチングガスとして広く採用されています。
CVD工程では、ウェハー上に非常に薄い膜(薄膜)を形成します。PFCは、原料ガスとして使用され、熱やプラズマのエネルギーによって分解され、ウェハー上に均一な薄膜を形成します。PFCを用いることで、高品質な絶縁膜や導電膜を形成することができ、半導体の性能向上に大きく貢献しています。