プルーム

原子力の安全

原子力災害対策におけるPPAとは

- PPAの概要PPAとは、「プルーム通過時防護対策区域」などと訳される、原子力災害時に住民の方々を守るための重要な区域です。2013年の原子力災害対策指針の見直しを受けて、新たに定められました。原子力災害が発生した場合、原子力施設から放射性物質を含む目に見えない気体の塊が放出される可能性があります。この塊をプルームと呼びます。プルームは風に乗って広がり、通過した地域では人々が放射線による被ばくを受ける可能性があります。PPAは、このようなプルームの通過による健康被害から住民を守るために設定されます。具体的には、プルームが到達する前に、あらかじめ定められた区域に住む住民に対して、屋内に留まり外気を遮断する「屋内退避」や、放射性ヨウ素による影響を抑制する「安定ヨウ素剤の服用」といった防護措置を講じる計画が立てられています。PPAの設定により、原子力災害発生時の住民の安全確保がより一層強化されることが期待されています。
原子力の安全

原子力施設とプルーム拡散

- プルームとはプルームとは、煙突などから排出された煙が、まるで空にたなびく羽毛や草木の穂のように、大気中を漂う様子を表す言葉です。工場の煙突から立ち上る煙や、寒い冬の日に車のマフラーから出る白い煙を思い浮かべると、イメージしやすいでしょう。原子力発電所でも、原子炉を冷却した後に発生する水蒸気や、ごく微量の放射性物質を含む気体などを、高い煙突を通して大気中に放出しています。このとき、煙突から排出される気体の流れ自体もプルームと呼びます。プルームは、風や気温、日射などの気象条件によって、その形や広がり方が大きく変化します。風があれば横にたなびき、気温が低ければ上昇しにくく、日射が強ければ上昇しやすくなるといった具合です。そのため、原子力発電所では、プルームの動きを予測し、環境への影響を評価することが非常に重要です。具体的には、気象観測やコンピュータシミュレーションなどを用いて、プルームの広がり方や濃度を予測し、周辺環境への影響が十分に小さいことを確認しています。また、万が一、放射性物質が環境に放出された場合でも、プルームの動きを予測することで、迅速かつ適切な対応をとることが可能となります。