プレナム

核燃料

原子炉の安全を守るプレナムの役割

- プレナムとは原子力工学において「プレナム」とは、原子炉の炉心周辺で冷却材で満たされた空間のことを指します。これは、一般的な工学用語でいう「閉鎖空間内の空気圧が外部よりも高い状態」とは少し異なる意味合いで使われています。原子炉において特に重要なプレナムは、発電用原子炉の燃料棒内部に設けられた「燃料プレナム」です。燃料プレナムは、燃料ペレットと呼ばれる核燃料物質を収納した燃料棒の上部に位置する空洞部分です。原子炉の運転中は、核分裂反応によって燃料ペレットから様々な物質が発生します。その中には、キセノンやクリプトンといった放射性物質を含む核分裂生成ガスも含まれます。燃料プレナムは、これらの核分裂生成ガスを一時的に貯留しておく役割を担っています。燃料プレナムの存在は、原子炉の安全性と効率性を維持する上で非常に重要です。燃料ペレットから発生した核分裂生成ガスは、燃料プレナムに貯留されることで燃料棒内の圧力上昇を抑制し、燃料棒の破損を防ぎます。また、燃料プレナムは核分裂生成ガスの挙動を制御することで、原子炉の出力調整にも貢献しています。このように、燃料プレナムは原子炉の安定運転に欠かせない重要な要素の一つと言えるでしょう。