
原子力発電の陰の立役者:マジックハンド
- マジックハンドとは?原子力発電所では、ウラン燃料から熱エネルギーを取り出し、電気を作っています。この過程で発生するのが、目に見えず、触ることもできない放射線です。放射線は、大量に浴びると人体に影響を与える可能性があるため、発電所内では、放射線を遮蔽したり、離れた場所から作業を行うなど、様々な工夫が凝らされています。その一つが、「マジックハンド」の愛称で呼ばれる「マニピュレーター」です。マニピュレーターは、人間の手のように動く遠隔操作装置で、放射線量の多い場所で、人が近づかずに作業を行うことを可能にします。まるでSF映画に登場するロボットアームを操縦するような感覚で、離れた場所から放射性物質を安全に取り扱うことができます。マニピュレーターの先端には、様々な形状のものが取り付けられます。例えば、物を掴むためのものや、切断するためのもの、溶接するためのものなどがあり、用途に応じて使い分けられます。これにより、燃料の交換や点検、修理など、原子力発電所の様々な作業を、安全かつ正確に行うことが可能となります。原子力発電所において、マニピュレーターは、作業員の安全を確保するだけでなく、発電所の安定稼働にも大きく貢献していると言えるでしょう。