ポロニウム

放射線について

意外と身近な放射性元素ポロニウム

- ポロニウムとはポロニウムは、原子番号84番の元素で、元素記号はPoと表されます。この元素は、1898年にキュリー夫妻によって発見されました。彼らは、ウラン鉱石であるピッチブレンドから、ウランやトリウムよりもはるかに強い放射能を持つ物質を分離することに成功し、これを新しい元素として「ポロニウム」と名付けました。この名称は、マリー・キュリーの祖国であるポーランドにちなんで付けられました。ポロニウムは、自然界ではウラン鉱石などに極めて微量にしか存在しません。地球の地殻全体でも、わずか100グラム程度しか存在しないと推定されています。このように、ポロニウムは非常に希少な元素です。ポロニウムは放射性元素の一種であり、アルファ線を放出して崩壊していく性質を持っています。アルファ線は、ヘリウム原子核の流れであり、紙一枚で遮ることができるほど透過力は弱いという特徴があります。しかし、体内に取り込まれると、細胞に損傷を与える可能性があり注意が必要です。ポロニウムは、その強い放射能を利用して、人工衛星の熱源や静電気除去装置などに利用されています。また、タバコの煙にも含まれており、喫煙による健康被害の一因として挙げられています。