モジュラー型原子炉

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次世代の原子力発電:モジュラー型高温ガス炉

- モジュラー型高温ガス炉とはモジュラー型高温ガス炉(MHTGR Modular High-Temperature Gas-Cooled Reactor)は、従来の原子力発電の安全性や効率性をさらに向上させた、次世代の原子力発電技術として期待されています。モジュラー型高温ガス炉は、その名前が示すように、複数の小型の原子炉を組み合わせることで発電を行う仕組みです。従来の大型原子炉とは異なり、工場で原子炉をモジュール単位で製造し、現場で組み立てるため、建設期間の短縮やコスト削減が可能となります。また、高温ガス炉という名前は、冷却材に水ではなくヘリウムガスを使用し、従来よりも高い温度で運転できることを示しています。ヘリウムガスは化学的に安定しているため、水のように水素爆発を起こす心配がありません。さらに、高い温度で運転することで、熱効率が向上し、より多くの電力を発電することができます。安全性という点においても、モジュラー型高温ガス炉は優れた特徴を持っています。炉心は、セラミックで被覆された燃料粒子を黒鉛で固めた構造となっており、高い耐熱性を誇ります。万が一事故が発生した場合でも、炉心の溶融や放射性物質の大量放出の可能性は極めて低いとされています。このように、モジュラー型高温ガス炉は、安全性、効率性、経済性のすべてにおいて優れた特徴を持つ、次世代の原子力発電技術として期待されています。将来的には、水素製造や海水淡水化など、発電以外の分野への応用も期待されています。
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次世代原子炉:IRISとは

- IRISの概要IRIS(国際革新型安全炉)は、出力規模100~300メガワット級のモジュール型軽水炉として設計された原子炉です。従来の大型原子炉とは異なる建設方法を採用しており、工場であらかじめ主要機器を組み立てたモジュールを建設現場に輸送し、設置します。この方式により、建設期間の短縮とコスト削減を目指しています。まるでレゴブロックのように原子炉を組み立てるようなイメージです。従来の原子炉は、建設現場で多くの作業員が長い期間をかけて建設する必要がありました。一方、IRISは工場でモジュールを効率的に生産し、現場ではその組み立てに集中するため、工期の短縮と人件費の削減が期待できます。また、工場での品質管理が徹底されることで、安全性と信頼性の向上も見込まれます。IRISは、安全性にも配慮した設計がなされています。例えば、受動的安全システムと呼ばれる、電源や人的操作に頼らずに原子炉を安全に停止させるシステムが組み込まれています。これは、万が一の事故時でも、原子炉を安全な状態に保つための重要な機能です。IRISは、モジュール型という特徴を生かして、電力需要の変化に柔軟に対応できるというメリットもあります。将来的に電力需要が増加した場合には、モジュールを追加することで容易に出力増加に対応できます。このように、IRISは、安全性、経済性、柔軟性を兼ね備えた次世代の原子炉として期待されています。
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GT-MHR:未来のエネルギー源

原子力発電は、国のエネルギーを安定的に供給する役割と、地球温暖化問題の解決に貢献できるという点で、将来に向けても重要な発電方法です。しかしながら、原子力発電所の事故のリスクや、放射性廃棄物の処理方法など、解決すべき課題も残されています。そこで、安全性と効率性を従来よりも格段に向上させた「第4世代原子炉」の開発が、2030年の実用化を目指して進められています。 この第4世代原子炉には、これまでの原子炉の設計や技術を見直し、革新的な技術が数多く導入される予定です。例えば、炉心溶融などの重大事故を、設計の段階で根本的に防ぐ仕組みや、ウラン燃料よりも遥かに効率的にエネルギーを取り出せる、トリウム燃料の使用などが検討されています。さらに、放射性廃棄物の発生量を大幅に削減する技術や、長寿命化により、廃棄物の処分場選定問題を緩和する技術なども開発中です。これらの技術革新により、第4世代原子炉は、より安全で、環境負荷の少ない、持続可能なエネルギー源となることが期待されています。