ラジオグラフィ

放射線について

見えないものを見る技術:中性子ラジオグラフィ

- 中性子ラジオグラフィとは中性子ラジオグラフィとは、物質を透過する中性子線の性質を利用して、物質内部の状態を画像化する技術です。これは、病院でよく見かけるレントゲン写真と原理的に同じものですが、中性子線を使うことで、レントゲン写真とは異なる情報を得ることが可能になります。レントゲン写真では、X線が物質中の電子と相互作用することで、物質によってその透過量が変化します。一方、中性子線は原子核と相互作用するため、物質中の元素の種類や量によって透過量が変化するという特徴があります。このため、中性子ラジオグラフィでは、レントゲン写真では見ることが難しい、水素やリチウム、ホウ素などの軽元素を感度良く観察することができます。また、中性子線は物質を透過する際に、物質中の原子核と相互作用することで散乱されます。この散乱の様子を調べることで、物質中の原子の配置や運動状態に関する情報を得ることもできます。中性子ラジオグラフィは、非破壊検査の分野で広く活用されています。例えば、航空機エンジンのタービンブレードの内部の欠陥検査や、リチウムイオン電池内部の電解液の分布状態の観察などに利用されています。また、近年では、文化財の内部構造を非破壊で調べる技術としても注目されています。