リチウム

核燃料

核融合発電の要: 燃料サイクルとは?

人類が長年追い求めてきた夢のエネルギー、それが核融合発電です。太陽が燃え盛る仕組みを地上で再現し、膨大なエネルギーを生み出す、まさに究極の発電方法と言えるでしょう。 核融合反応は、軽い原子核同士を超高温・高密度の状態で衝突させることで起こります。この衝突によって原子核同士が融合し、より重い原子核へと変化する際に、莫大なエネルギーが放出されます。核融合発電は、このエネルギーを利用して発電します。 核融合発電の最大の魅力は、二酸化炭素を排出しないという点にあります。地球温暖化が深刻化する現代において、環境に優しいクリーンなエネルギー源として大きな期待が寄せられています。さらに、核融合発電の燃料となる物質は海水中に豊富に存在するため、資源の枯渇を心配する必要もありません。まさに、エネルギー問題の解決策として、世界中から注目を集めているのです。
原子力施設

未来のエネルギー: 核融合炉

- 核融合炉とは核融合炉は、太陽の内部で起きている核融合反応を人工的に再現し、エネルギーを取り出すことを目指した装置です。核融合反応とは、軽い原子核同士が衝突して融合し、より重い原子核になる際に膨大なエネルギーを放出する現象です。太陽はこの核融合エネルギーによって輝いています。核融合炉では、燃料として重水素と三重水素という水素の仲間である物質が使われます。これらの物質は地球上に豊富に存在し、特に重水素は海水から取り出すことが可能です。そのため、核融合炉は、資源の制約が少なく、事実上無尽蔵のエネルギー源として期待されています。核融合反応を起こすためには、一億度という超高温でプラズマ状態にした燃料を、強力な磁場によって閉じ込める必要があるため、技術的に非常に困難です。しかし、世界各国で研究開発が進められており、実用化に向けて着実に前進しています。核融合炉が実現すれば、エネルギー問題の解決に大きく貢献することが期待されています。
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核融合炉の心臓部: ブランケットの役割

核融合発電を実現するためには、太陽の中心部で起きている核融合反応を人工的に再現する必要があります。そのために、高温高圧のプラズマを閉じ込める装置が必要となりますが、この装置の周りを覆っている重要な構成要素が「ブランケット」と呼ばれるものです。ブランケットは、核融合反応から生じる莫大なエネルギーを受け止めて熱に変換し、発電に利用するために無くてはならない存在です。 ブランケットの中には、リチウムという物質が組み込まれています。リチウムは、核融合反応によって発生する中性子を吸収してトリチウムという物質に変化します。トリチウムは、重水素と反応することで核融合反応を引き起こす燃料となります。つまり、ブランケットは核融合反応で消費されるトリチウムを燃料として供給する役割も担っているのです。 このように、ブランケットは核融合発電において、エネルギーの取り出しと燃料の生産という二つの重要な役割を担っています。そのため、ブランケットの設計や材料開発は、核融合発電の実現に向けて重要な課題となっています。
原子力発電の基礎知識

原子力発電のキーパーツ:中性子増倍材

- 中性子増倍材とは?原子力発電の心臓部である原子炉では、ウランなどの核分裂性物質が核分裂反応を起こし、莫大なエネルギーを生み出しています。この核分裂反応を引き起こすためには「中性子」と呼ばれる粒子が重要な役割を担っており、中性子を効率的に利用することが原子力発電の鍵となります。中性子増倍材とは、その名の通り、原子炉内で中性子の数を増やす役割を担う物質です。原子炉内では、ウランの核分裂によって中性子が放出されますが、すべての中性子が次のウランに衝突して核分裂を引き起こすわけではありません。中には原子炉の外に飛び出したり、ウラン以外の物質に吸収されたりするものもあります。そこで、中性子増倍材の出番です。中性子増倍材は、ベリリウムや黒鉛などの軽い元素からなります。これらの物質は、中性子を吸収しやすく、吸収した際にエネルギーの低い中性子を複数放出する性質を持っています。これを中性子の「減速」と「増倍」と呼びます。原子炉内では、中性子増倍材の働きによって中性子の数が適切に保たれ、安定した核分裂反応が維持されます。さらに、中性子の数を調整することで、原子炉の出力を制御したり、核燃料をより効率的に利用したりすることが可能になります。このように、中性子増倍材は、原子力発電において欠かせない役割を担っており、原子炉の安全かつ効率的な運転に大きく貢献しています。