レーザー核融合

原子力発電の基礎知識

未来のエネルギー: 慣性核融合

- 慣性核融合とは 慣性核融合は、未来のエネルギー問題解決の鍵として期待されている、重水素と三重水素の核融合反応を利用した発電方法です。この技術は、太陽が莫大なエネルギーを生み出すメカニズムと同様の原理に基づいており、「地上の太陽」とも呼ばれています。 太陽の中心部では、巨大な重力によって水素原子核同士が超高温、超高圧の状態に置かれ、融合してヘリウム原子核になることで莫大なエネルギーを生み出しています。慣性核融合は、この現象を人工的に再現しようとするものです。 具体的には、重水素と三重水素を封入した小さな燃料カプセルに、レーザーや粒子ビームを四方八方から照射します。すると、燃料カプセルは瞬間的に超高温、超高圧の状態となり、内部で核融合反応が起こります。この反応によって発生するエネルギーを取り出すことで、発電を行うことができます。 慣性核融合は、他の発電方法と比べて多くの利点を持っています。例えば、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであること、燃料となる重水素と三重水素は海水中に豊富に存在するため、資源的にほぼ無尽蔵であることなどが挙げられます。 現在、世界中で慣性核融合の実用化に向けた研究開発が精力的に進められています。実用化にはまだ多くの課題が残されていますが、21世紀後半の実用化を目指して研究が進展中です。