
原子力発電の安全を守る中性子モニタ
原子力発電所では、原子炉内で起こる核分裂反応を監視し制御するために、中性子の数を正確に把握することが不可欠です。しかしながら、中性子は電気を帯びていないため、物質と相互作用を起こしにくく、直接検出することが非常に困難です。そこで、中性子と特定の物質との反応によって生じる別の粒子を検出することによって、間接的に中性子の存在を捉えるという方法が用いられています。
この方法を実現するために、中性子検出器には様々な種類が存在しますが、その一つに三フッ化ホウ素計数管と呼ばれるものがあります。これは、ホウ素10という物質が中性子を吸収すると、アルファ線と呼ばれるヘリウムの原子核を放出するという性質を利用したものです。アルファ線は電荷を持っているため、電気的な信号に変換することで容易に検出することができます。
具体的には、三フッ化ホウ素計数管は、内部に三フッ化ホウ素ガスを封入した円筒形の構造をしています。そして、中心軸には電圧がかけられた電極が設置されており、円筒の内壁は接地されています。中性子が計数管に入射すると、封入されたガス中のホウ素10と反応し、アルファ線が放出されます。このアルファ線は気体分子と衝突し、電離を引き起こします。発生した電子は電極に引き寄せられ、電気信号として検出されます。このようにして、検出された電気信号の数は、間接的に中性子の数に対応しているため、原子炉内の状態を把握することが可能となります。