中性子検出器

放射線について

宇宙でも活躍するボナーボール型中性子検出器

- 中性子検出の仕組み 原子核の研究や原子力発電など、様々な分野で重要な役割を担う中性子。電気を帯びていないため観測が難しく、巧みな方法で検出する必要があります。その代表的な方法の一つに、ボナーボール型中性子検出器があります。 この検出器は、二重構造を持つことが特徴です。中心部には、ヘリウム−3というガスを封入した球形の容器が設置されています。ヘリウム−3は中性子と反応しやすい性質を持ち、検出の鍵を握ります。この容器を、水素を豊富に含むポリエチレンなどの物質でできた外層が包み込む構造となっています。 検出器に高速の中性子が飛び込んでくると、まず外層の水素原子核と衝突します。すると、水素原子核は陽子と中性子で構成されているため、高エネルギーを持った陽子や三重水素が飛び出してきます。これらの粒子が、中心部のヘリウム-3に衝突すると、ヘリウム-3はイオン化し、電流が発生します。この電流を測定することで、間接的に中性子の存在を捉えることができるのです。 このように、ボナーボール型中性子検出器は、直接観測が難しい中性子を、他の粒子との反応を利用して間接的に検出する仕組みです。原子力分野の発展に大きく貢献している技術と言えるでしょう。
放射線について

宇宙を探る目: フォスイッチ型中性子検出器

私たちが目にする物質は、原子という小さな粒からできています。原子は中心にある原子核とその周りを回る電子からなり、さらに原子核は陽子と中性子というさらに小さな粒子で構成されています。陽子はプラスの電荷、電子はマイナスの電荷を持つため、電気的な力で互いに影響し合っています。しかし、中性子は電荷を持ちません。そのため、電気的な力を利用する通常の検出器では捉えることができません。 電荷を持たない中性子をどのように検出するのでしょうか? その答えは、中性子が持つエネルギーにあります。 中性子は物質の中を進む時、他の原子と衝突することがあります。この衝突によって、中性子は自身のエネルギーを相手に渡し、自身は減速したり、方向を変えたりします。ビリヤードの球をイメージすると分かりやすいでしょう。動く球が静止している球にぶつかると、動いていた球はエネルギーを失い、静止していた球は動き出します。 中性子検出では、この衝突によって生じる現象を利用します。中性子が原子に衝突すると、原子から陽子が飛び出すことがあります。この陽子はプラスの電荷を持っているので、検出器で捉えることができます。つまり、直接見ることのできない中性子を、陽子という別の粒子を通して間接的に観測するのです。この検出方法を用いることで、原子力発電をはじめ、様々な分野で中性子の振る舞いを調べることが可能になります。