素粒子界の重鎮:K中間子の謎
物質を構成する最小単位は原子と考えられていましたが、原子よりもさらに小さな粒子の存在が明らかになり、原子核を構成する陽子や中性子、原子核の周りを回る電子などが発見されました。しかし、物質の世界はそれだけではありません。陽子や中性子よりも小さく、電子の仲間でもない、中間子と呼ばれる粒子が存在します。
中間子は、かつては質量によって定義されており、電子よりは重いが陽子や中性子よりは軽い、または同程度の質量を持つ粒子とされていました。しかし、近年では陽子よりも重い中間子も発見され、質量による定義は必ずしも成り立たなくなってきました。
そこで、現代の物理学では、強い相互作用という力に注目して中間子を定義しています。強い相互作用とは、原子核の中で陽子や中性子を結び付けておく力のことです。中間子は、この強い相互作用をする粒子の中で、スピンと呼ばれる粒子が持つ固有の角運動量が整数のものを指します。
このように、中間子の定義は時代とともに変化してきました。まるで、科学の進歩とともに、その姿を変え続ける忍者のようです。今後も新たな発見により、中間子の理解はさらに深まっていくことでしょう。